
徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest

徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest
2024年(令和6年)10月28日 月曜日 徳洲新聞 NO.1464 4面
厚生労働省の公表資料によると、9月に入り、少しずつですが全国でインフルエンザ患者さんが増えつつあります。これから本格的な流行シーズンを迎えるにあたり、あらためて心がけるべきことは何か。罹患や重症化の予防策について、岸和田徳洲会病院(大阪府)の松元陽一副院長がワクチン接種を中心に解説します。
岸和田徳洲会病院(大阪府) 松元陽一副院長
インフルエンザはインフルエンザウイルスによって引き起こされる呼吸器感染症です。A型、B型、C型と、大きく3つのタイプに分かれ、人に感染するのはA型とB型。毎年流行しますが、A型が流行し、遅れてB型が流行して2回罹患することもあります。
感染すると数日間の潜伏期間を経てウイルスが増殖し、突然、発症します。のどの痛みや鼻汁、せきといったかぜ症状に加え、比較的早い段階で全身症状(発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感など)が見られるのが特徴です。通常、1週間程度で症状は改善しますが、小児や高齢者、基礎疾患がある方など、免疫力が低い方の場合、合併症をともなって入院、時には亡くなるケースもあり、決して甘く考えてはいけません。
そのため、感染、あるいは感染しても重症化するのを防ぐことが重要になります。接触や飛沫を主な感染経路とすることから、基本的な感染予防策は手洗いやマスク着用の励行になります。食事や睡眠など生活習慣にも注意し、きちんと体調を管理することも欠かせません。これらに加え、できる努力を挙げるとすれば、ワクチンの接種です。
ワクチンは毒性を完全に消失させた、あるいは弱めたウイルスやウイルスの一部を接種することで体内に抗体をつくり、次にウイルスが侵入しても増殖を抑える薬です。インフルエンザの場合、毒性をなくしたインフルエンザウイルスの一部でつくられたものが、従来の注射で接種するタイプになります。基本的にA型とB型の両タイプに効果が期待できるものの、接種したからと言って感染・発症する可能性がゼロになるわけではありません。これは、端的に言うと、流行するウイルスの性質が毎年変わるからです。新型コロナウイルスが「デルタ株」、「オミクロン株」と変異したように、インフルエンザウイルスも変わります。
ワクチンは、バイクに乗る時のヘルメットや車のシートベルトと同じようなもの。装着していれば事故に遭遇しないのではなく、万一、遭遇した時に大事に至るリスクを減らせるということです。また、多くの方が接種することで、集団免疫を得て流行を抑え込める公衆衛生的なメリットもあります。
今シーズンからワクチン接種の選択肢が増えました。左右の鼻腔内に噴霧する点鼻タイプで、毒性を弱めたウイルスを用いた生ワクチンです。対象は2~18歳の方。すでに当院でも希望者に使用していますが、注射タイプのように、針を刺したり、年齢によって2回来院したりする必要がないため、好評です。今出ているデータでは注射タイプと変わらない効果とされ、当院でも副作用などは経験していませんが、開始したばかりということもあり、現時点で「確実に効果がある」と言えるほどの実感はありません。それでも、ワクチン接種の選択肢が増えたことは良いことと捉えています。ひとつ注意すべきは、生ワクチンは接種者から感染が起こることもあり得るため、接種後しばらくは体調の悪い人などに近付かないようにしましょう。
もちろん、ワクチン接種は強制ではありません。アレルギーなど体質が影響することもあるので、接種を検討する際は医師に相談することをおすすめします。