徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2024年(令和6年)09月23日 月曜日 徳洲新聞 NO.1459 1面

新生・神戸徳洲会病院───㊤
医療安全管理体制に万全期す
全職員の意識改革促し組織的な取り組みへ

神戸徳洲会病院は8月31日、医療安全管理体制の見直しを完了した。神戸市からの改善措置命令を受け取り組んできたもの。市は来年8月末まで改善措置が適正に運用されているか確認する。改善措置では、患者さんの安全を最優先に考えた“組織的な医療安全管理体制”の実現に向け、診療体制はもちろん、とくに医療事故(疑いがある場合を含む)や医療安全に関する事案が発生した時の対策などを抜本的に改善した。全職員の意識改革を促す取り組みも講じ、医療安全文化の醸成に努めている。

「今、ここからがスタートです」と強調する尾野院長

市の改善命令で、神戸病院に認められた一連の不備は「個々の職員の問題ではなく、組織としてのガバナンス(統治)の脆弱さに起因するものと考えられる」と指摘。医療安全管理体制の抜本的な見直しを求め、とくに医療事故(疑いがある場合を含む)や医療安全に関する院内組織で取り扱うべき問題が発生した時の対応、最善の医療を提供するための多職種間や医師間での連携体制、患者さんへの説明や診療録の内容など医療の透明性の確保を重点対策に挙げた。

「職員の意識が明らかに変化しました」と口をそろえる田畑 ・看護師長(左)、乕田・看護部長

これを受け、同院は改善計画を作成。①医療安全文化の醸成、②透明性のある医療の提供、③救急医療・診療体制の拡充、④看護体制および研修の充実、⑤第三者機関による評価――の5項目を「抜本的な対策」に掲げ、4月1日に着任した尾野亘院長と乕田美幸・看護部長、昨秋に院内医療安全対策室室長に就いた中島義和・副院長兼脳神経外科部長らを中心に、より厳格な仕組みやルールづくり、職員の意識改革に取り組んだ。

「地域からの信頼回復に努めます」と吉川事務長

とくに注力したのが、疑いを含め医療事故を検証する体制の整備。全死亡例をリスト化し、医療安全対策室で週1回のレビューを行うことや、院内医療安全調査委員会の対象となる7項目を設定。いずれかに該当した場合、必ず同委員会に報告し、調査することにした。事故につながる恐れのある「インシデントレポート」でも報告する基準などを厳格化。インシデントレベルゼロでも確実に報告するよう求め、短期間の提出期限も設けた。

報告や調査にかかわる責任者と役割、院内調査の際に徳洲会グループ内の専門医を招聘できることなども明文化した。医療安全に関する院内組織の再編やマニュアルの改訂も実施。新たに立ち上げたリスクマネジメント委員会では、各部署のリーダーではなく、より現場に近いサブリーダーをメンバーにするなど、実情に合わせながら事故やインシデントケースの再発防止に結び付けるサイクル活動が展開できる仕組みを意識した。

こうした活動を病院全体で共有。たとえば、一定レベル以上の医療事故や、院内医療安全調査委員会が企画立案した対応を、その概要とともに、朝礼や医局会などで報告したり、電子カルテのイントラネットに一定期間提示したりして職員に周知。委員会の再編では、「医療の質改善委員会」を立ち上げた。中島副院長は「事実をすぐに集約できる日頃の環境や体制、関係性が大事」と強調する。

医療安全に関する職員教育にも注力。毎月、医局会での研修開催に加え、全職員を対象とする研修プログラムを策定、eラーニングも行っている。さらに各部署の副主任以上は、病院機能評価による医療安全管理者養成研修会の受講を順次進めている。

医療安全管理者(専従)の田畑千代子 ・看護師長は「インシデントレポートにしても増えており、皆の意識が変わってきたように思います」と手応えを示し、吉川文雄事務長も「事務職も、さまざまな取り組みを通じて意識は変わってきたと感じています。インシデントレポートも1人当たりの提出目標を掲げ、取り組んでいます」。

改善措置完了でスタートラインに 信頼され安心してもらえる病院へ

多くの職員が勉強会や研修会で研鑽。ヒヤリハットの事例分析の様子

診療体制でも安全を確保するために、さまざまな仕組みを構築。医師1人当たりの受けもち数の上限を設定したり、診療科ごとに医師体制の改善策を設けたりした。新規診療科の立ち上げには、プロジェクトチームを設置して月1回の協議を実施。予約枠の上限や急変時対応、看護師の配置や専門研修体制などについて基準や方針を定めた。

ヒヤリハットの事例分析

患者さんへの説明では、一定の質を担保するために、病院機能評価で求められるレベルの説明書や同意書のひな形を作成。専門の委員会も新設し、院内委員とは別に徳洲会グループとは関係のない客観的第三者の専門家として法律の専門家も加わり、使用順守率などを適宜、監査する。診療録についても院内に委員会を設置し、随時、チェックすることとした。これら以外にも、徳洲会グループ本部や徳洲会医療安全管理部会の支援を受け、同院は医療安全に関する抜本的な改善措置を講じた。

乕田・看護部長は「着任した時に、職員からは『この病院を何とかしたい』という思いを感じました。職員一丸で良い方向に変わっていきたいと思います」。

尾野院長は「医療事故を起こさないことはもちろんですが、大事なことは事故が起こった時に、あらゆる部署から報告が上がり、皆で検証する仕組み。特定の人や組織の意向や事例の内容によって方法が異なってはいけないのです」と強調。

そのうえで、「その意識が、すべての職員に行きわたれば本当に良い病院になります。職員に繰り返し伝えていますが、措置完了はゴールではなく、スタート。今後もひとつずつ誠実に取り組み、丁寧に地域の方に説明しながら、信頼を得られる病院、安心していただける病院になりたいと思っています」と語気を強める。

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