徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest
Tokushukai medical group newspaper digest
2024年(令和6年)09月16日 月曜日 徳洲新聞 NO.1458 4面
古河総合病院(茨城県)と榛原総合病院(静岡県)はHCU(高度治療室)を開設した。ICU(集中治療室)と一般病棟の中間に位置する病床。これまで両院にICUやHCUはなかったため、重症度の高い患者さんを積極的に受け入れる体制を築き、地域への一層の貢献を目指す。
「地域に貢献したい」と鈴木・看護副主任(右)、関・看護副主任
古河病院のHCUは開設からほぼ満床状態
看護師教育にも力を入れる八木・看護部長(右)と櫻井・看護師長
CCUとも連携している榛原病院のHCU
古河病院は一般急性期病棟から8床を転換し開設した。以前から外来を含め救急患者さんが多く、従来は一般病棟のみで対応していた。しかし、一般病棟での人員配置基準や設備だけでは、多くの重症患者さんに対応するのが難しく、とくにマンパワーが少ない夜間の搬送には苦慮していた。こうしたなか、4月に常勤医師が6人入職するなど急性期への対応力が向上したことから、HCUを開設。
鈴木千秋・看護副主任は「重症患者さんは一般病棟よりも手厚い看護体制のHCUに入り、状態が落ち着いてから一般病棟へと移ります。重症患者さんに一層行き届いた看護が提供できるとともに、一般病棟の看護師の負担軽減にもつながっています」と説明する。
8月の本格稼働直後から、ほぼ満床状態が続くなか、同院では毎日夕方に各病棟の所属長が集まり、ベッドコントロール会議を開催。優先的に一般病棟に移ってもらう患者さんを決定し、とくに夜間の救急受け入れに備えている。関美菜・看護副主任は「一般病棟の看護師は患者さんの受け入れを予測できるため、夜間でも落ち着いて対応できます」。
鈴木・看護副主任は、HCUの開設が人材育成や採用活動にも良い影響を与えていることを示唆。「重症患者さんに集中して対応することで、看護スキルやモチベーションの向上にも寄与しています。HCUでの勤務を希望する看護師の採用にもつながりました」と胸を張る。
榛原病院は一般急性期病棟4床を転換した。同院はケアミックス病院で、各病棟の機能強化に尽力。このうち急性期については、同院が属する志太榛原医療圏の地域医療構想もあり、増床で機能強化を図るのは難しい状況だった。
こうしたなか同院は昨年、日本医療機能評価機構の病院機能評価の更新審査を受審。サーベイヤー(調査員)からの「重症患者さんが多いためHCU開設が可能ではないか」とのアドバイスがきっかけとなった。同院は7床のCCU (冠疾患集中治療室)を設置していたが、手術件数の増加にともない満床状態。循環器だけでなく外科や整形外科の手術件数も伸びており、重症患者さんを集中して看護する体制整備が急務だった。
HCUは手術室に隣接し設置。従来は術後の患者さんをエレベーターで一般病棟に移送することもあったが、術後、より手厚い看護を、より迅速に患者さんに提供できるようになった。
HCUには循環器の患者さんが多いと予測し、CCU経験のある看護師を中心に配置。櫻井恵真・看護師長は「術後はHCUに入室、安定したらCCUに移動する運用も行っており、とくにCCUの看護師の負担軽減につながっています」と指摘する。
八木千乃・看護部長は「重症患者さんを集中的に看護できる体制が整いました。多様な容態の患者さんに対応できるよう看護師の教育体制を見直し、病院全体の看護の質の底上げも図っていきます」と意気軒高だ。同院は今後、HCUを8床まで拡大していく考え。