徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2024年(令和6年)09月16日 月曜日 徳洲新聞 NO.1458 2面

病気のはなし162
アフリカ外で初確認
エムポックス(サル痘)

【続報】重症化しやすいタイプのエムポックス(2023年よりサル痘から名称変更)「クレード1」が8月、アジアと欧州で相次いで確認された。クレード1がアフリカ諸国外で確認されたのは初めて。同疾患は近年、アフリカ諸国を中心に感染拡大しており、世界保健機関(WHO)は8月14日、2022年に続き2度目の緊急事態宣言を発令。日本では従来型のエムポックスは、海外渡航者の感染や国内感染例が少数見られるものの、今のところクレード1の感染例はない。しかしインバウンドが活発化している現在、いつ日本に入ってもおかしくない。

エムポックスは発熱、発疹、リンパ節の腫れなど症状があり、日本では4類感染症に指定(人獣共通感染症)。成人の場合は数週間で自然治癒することが多いが、死亡する例もあり、とくに小児の致死率が高い。全年齢の致死率は0~11%。患者さんの飛沫、体液、皮膚病変などが何らかの形で体内に入り、感染する。今、流行しているクレード1は従来のクレード2に比べ感染力が高いという報告もある。

天然痘のワクチンがエムポックスの感染予防および重症化予防に有効だが、天然痘は世界的に根絶されていることから、日本では1976年を最後に、同ワクチンを定期接種に組み込んでおらず、またワクチンの生産体制も十分とは言いがたい。現状では日本での生活に感染リスクはないと見られるが、動向を注視したい。

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