徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest
Tokushukai medical group newspaper digest
2024年(令和6年)07月29日 月曜日 徳洲新聞 NO.1451 3面
医療法人徳洲会 最高顧問 社会福祉法人おきなか福祉会 理事長 安富祖 久明(あふそひさあき)
徳洲会創業者、徳田虎雄・名誉理事長のご逝去を心からお悔やみ申し上げます。
徳田先生は“生命だけは平等だ”の理念の下、医療の平等を目指して日本全国に病院を設立するなど、多大な貢献をされました。その献身的な取り組みと情熱に、多くの人々が救われました。感謝の念に堪えません。
かつて沖縄県には結石破砕装置がなく、尿路結石症患者さんたちは宿泊先を予約し、旅費を準備して福岡や東京、大阪、北海道に行かねばなりませんでした。南部徳洲会病院(沖縄県)へ同装置導入を要望した際、徳田先生は「沖縄県の結石症患者さんのデータを調べてくれ」と指示、わずか2週間で高価な装置の導入を決定されました。
また、徳田先生は、お年寄りのためのデイケアを広めました。しかし、デイケアの適応範囲などをめぐり医師会と意見が二分し、行政は「これでは国民皆保険がつぶれる」と懸念、マスコミも「徳洲会が老人狩りをしている」と社会問題として取り上げました。混乱ぶりを訴える私に、徳田先生は「患者さんはどうしていますか?」と尋ねられました。私が「患者さんは、とても喜び、朝6時半から玄関口で待っています」と答えると、先生は「君は医師会のために仕事をしているのか、行政のためか、マスコミのためか、患者さんのために尽くしなさい」と力強く言われました。さらに、沖縄県の離島での病院建設計画に対し音を上げると、「君は国や県のカネで医者にしてもらったのに恩返しもしないのか」と叱咤激励されました。また国政に出た際も、患者さんや地域のための行動であると、強く述べられていました。
徳田先生は徹頭徹尾、妥協することなく、患者さんのため、住民の皆さんために尽くされました。その精神は今もなお、私たちの心に強く生き続けています。心よりご冥福をお祈りいたします。