徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2024年(令和6年)07月22日 月曜日 徳洲新聞 NO.1450 4面

読み解く・読み得 紙上医療講演76
痛風予防は生活習慣から

暑い季節になると増えるのが“痛風”です。発汗により体内の水分が失われやすく、アルコールの摂取量が増加することも血中の尿酸値を上昇させます。風が吹いて患部に当たるだけでも激痛が走ることから“痛風”と呼ばれ、尿酸値が高い状態が続くと、痛風発作を引き起こすだけでなく、高血圧など他の生活習慣病や腎機能の低下、心疾患、脳血管疾患などリスクを高めると言われています。中部徳洲会病院(沖縄県)の島袋真紀・栄養管理部副主任(管理栄養士)が「痛風(高尿酸血症)」について解説します。

島袋真紀・中部徳洲会病院(沖縄県)栄養管理部副主任(管理栄養士)

『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン』によると、高尿酸血症とは血中の尿酸濃度である血清尿酸値が7.0mg/dlを超えた状態を指します。そして、体内の尿酸が過剰となった状態が続き、結晶化した尿酸が体内に蓄積して、足の関節などに激痛をともなう激しい炎症が生じる病気を痛風と言います。

高尿酸血症は男性のほうが発症頻度は高く、成人男性の20~30%に見られると言われています。一方、女性の発症は少ないのですが、加齢とともに増加し、尿酸の排泄を促す働きのある女性ホルモンの分泌が減少する閉経後は、尿酸値が高くなりやすくなります。

尿酸の産生と排泄のそれぞれの量のバランスが崩れることで、高尿酸血症になります。バランスが崩れる要因としては、食べすぎや飲みすぎ、強いストレス、激しい運動、腎機能の低下などが挙げられます。

痛風発作が起きやすい部位は、足の甲や親指の付け根、足首、膝などです。脱水になりやすい夏場に多く、時間帯では、発汗によって体内の水分が減少しやすい夜中から明け方にかけて起こることが多いとされています。

健康診断や人間ドックで尿酸値が高いと指摘を受けた場合は、まず、ご自身の体重、日頃の飲酒量を見直してください。高尿酸血症の状態にある場合、適正体重を超えるケースが多く見られるためです。生活習慣病予防のためにもなりますので適正体重を目指しましょう。

尿酸値が高い人は、野菜を多めにバランスの取れた食事を、朝、昼、夕と規則正しく摂ることを心がけてください。野菜やきのこ、海藻が含む食物繊維は、尿酸の元となるプリン体の吸収を抑える働きがあるため、おすすめします。他方、果物や清涼飲料水が含む果糖はカロリーが高く、体内に吸収されやすいため、摂りすぎると肥満の原因となります。

プリン体が肝臓で分解されたものが尿酸となりますので、プリン体を多く含む食品を摂りすぎないことが肝要です。表を掲げましたので、献立を考える時の参考にしてください。

アルコールとの付き合い方も注意を要します。特に空腹時や運動後、大量に汗をかいた後にアルコールを摂取すると、尿酸値が上昇しやすいため、そのような時は飲まないようにしましょう。ことにビールはプリン体を多く含みます。プリン体カットの発泡酒などもありますが、アルコール自体に尿酸値を上げる働きがあるため、過度な飲酒は控え、休肝日を設けることが大切です。

尿酸値を下げるには有酸素運動、たとえばウォーキングや軽いジョギング、エアロビクス、サイクリングなどを毎日30分以上行うことが効果的と言われています。

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