徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest
Tokushukai medical group newspaper digest
2024年(令和6年)07月22日 月曜日 徳洲新聞 NO.1450 1面
医療法人徳洲会(医徳)の東上震一理事長(一般社団法人徳洲会理事長)ら徳洲会一行は6月23日から5日間、インドネシア共和国を訪問し、首都ジャカルタにある国立ハラパンキタ循環器病センター(日本の国立循環器病研究センターに相当)との新病院建設にかかわる財務保証契約書に調印した。これは徳洲会が100 億円規模の新病院を寄贈する共同プロジェクトで、新病院は同センター敷地内に「Harapan Kita-Tokushukai Cardiovascular Center(ハラパンキタ・徳洲会循環器病センター)」として建設。延床面積61,478㎡、地上22階・地下3階、700床超の計画で、9月に起工式を行い、2026年度中の開院を目指す。
新病院の完成予定図 アミン副大統領(右)と握手をする東上理事長 契約書に調印する東上理事長(左)とイワン院長
今回、訪問したのは東上理事長、大橋壯樹・医徳副理事長、札幌東徳洲会病院の山崎誠治院長、岸和田徳洲会病院(大阪府)の横井良明副院長(当時)、湘南鎌倉総合病院(神奈川県)の齋藤滋・心臓センター長、東京西徳洲会病院の嶋田直洋・心臓血管センター主任部長、一般社団法人徳洲会の植嶋敏郎・事務局長、吉田博章・経理部長代理、髙木宏光・国際部職員。
24日にインドネシアに到着後、一行は副大統領府を訪問、マアルフ・アミン副大統領にブディ・グナディ・サディキン保健相がプロジェクトの進捗状況を報告した。アミン副大統領は今回の寄贈に対する謝意を表し、「新病院の建設や徳洲会との技術交流により、これまでマレーシアやシンガポールに流出していた患者さんの診療を、今後は自国で行えるようになることでしょう」と期待を寄せた。
これに対し東上理事長は、「徳洲会の医療従事者も、新病院で多くの経験を積めるようになります。臨床・研究・教育に関する交流を促進させ、新病院をアジアでナンバーワンの循環器病センターに成長させたいと考えます」と意気込みを見せた。
続いて、在インドネシア日本大使館を訪問。東上理事長は正木靖・特命全権大使に、アミン副大統領との会談について報告したうえで、「徳洲会はハラパンキタ循環器病センターと20年以上の交流があります。新病院の建設により、インドネシアの循環器分野へのさらなる対応力向上を図る狙いがあります」とアピール。さらに、NPO法人TMAT(徳洲会医療救援隊)を通じ、災害医療支援活動に取り組んできたことなども説明した。
正木大使は「インドネシア政府は現在、全国の病院の医療水準を引き上げようとしています。今回のプロジェクトは、インドネシア政府の動きに合致するものであり、大変ありがたい状況だと感じます」と評価。
夕方には、ハラパンキタ循環器病センターのイワン・ダゴタ院長や設計事務所の担当者らと、新病院の設計について意見交換。徳洲会側は手術室の増室や動線を考慮したフロアレイアウトなどに関し改善案を提示した。
徳洲会のオリジナル記念盾を手にするアズハル総局長(中央)とイワン院長 調印式後にハラパンキタ循環器病センター前で集合写真
25日にハラパンキタ循環器病センターで、新病院のための財務保証契約書の調印式を実施。その席でアズハル・ジャヤ保健省保健サービス総局長は、新病院の寄贈について同省を代表して謝意を示したうえで、「徳洲会の医療従事者が新病院で活動することにより、ハラパンキタ循環器病センターひいてはインドネシアの医療レベルの向上が見込まれます。また、循環器分野のみならず、今後は他の分野でも徳洲会と協力を進め、長くこの関係が続くことを願っています」と期待感をあらわにした。
イワン院長は「徳洲会からの支援は20年以上の歴史があります。新病院では、両国の医療従事者が交流を深め、互いの技術を高め合うと同時に、徳洲会の参画をもとにキャパシティのみならずクオリティの向上にも努めます。そのうえで、アジアでもトップクラスの病院を目指し、両国の発展につなげたいと思います」と力を込めた。
東上理事長は「イワン院長や循環器内科の方々との交流を通じ、病院としての成長も後押ししたい」と強調。さらに、徳洲会の国境を越えて世界に医療を届けるという理念を示し、「アジアから発信して、循環器分野で世界を牽引する病院を築きたい」と今回のプロジェクトに対する意気込みを示した。
最終日の26日は、インドネシアの建築物の見学、今後さらに需要が見込まれる介護人材養成学校を視察した後、帰国した。
横井副院長は「20年にわたるハラパンキタ循環器病センターとの交流が、今回の支援に結び付きました。成長著しいアジアで、日本の存在感を示すためには、病院建設だけでなく、人材交流も大切です。このような発想は、徳洲会ならではだと考えます」と思いをはせる。
齋藤センター長は「インドネシアは発展途上にあり、われわれも、その渦に巻き込まれることで、さらなる発展を見込めると感じます。今後は、今日感じ取った進歩や今後の方向性をさらに広げていきたいと思います」と抱負を語る。
大橋・副理事長は「われわれの支援に対し、国を挙げて喜んでいただきました。これまで長きにわたる交流がベースにあったからこそ、スムーズに信頼関係を築けたと思います。徳洲会が連携することで、経営面のみならず、インドネシア全体の循環器医療のますますの発展に寄与していきたい」と胸を張る。