
徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest

徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest
2024年(令和6年)06月03日 月曜日 徳洲新聞 NO.1443 1面
「新たな治療の選択肢になり得ます」と期待を寄せる兵頭センター長
鎌ケ谷総合病院(千葉県)は、脳動脈瘤に対する治療で新たに袋状の塞栓デバイス「フローディスラプター」(W-EB)を導入した。
脳動脈瘤は、脳動脈の一部がこぶのようにふくらむ病態。原因は明らかになっていない。瘤が破裂し、くも膜下出血を起こすと、最悪、死に至り、命を落とさなくても重い後遺症が残る可能性が高い。
展開したフローディスラプター
治療は主に、ふたつの方法があり、ひとつは開頭手術。クリップで瘤の入り口部分を血管の外側からはさみ血流を遮断する(開頭クリッピング術)。
もうひとつは血管内治療。X線透視下で脚の付け根などから血管内にカテーテルを挿入し、専用のコイル(細い金属を巻いたもの)を詰めて瘤をふさいだり(コイル塞栓法)、瘤の入り口部分にステントを留置して血流を変えたりする。
治療イメージ
同院が導入したフローディスラプターは、血管内治療で用いる医療機器。脚の付け根からマイクロカテーテルで脳動脈瘤まで運び、瘤をふさぐ。具体的には、カテーテルの先端からフローディスラプターを押し出し、細かい網目の袋状にふくらんだ状態で中央部分に電気を流してカテーテルから切り離し、留置する。これにより瘤内への血流が停滞、血液の正常組織(血管内液やフィブリンなど)が同デバイスを覆って塊となり、破裂や破裂による出血リスクを低減する。袋状かつ形状記憶合金のため、瘤から抜けにくいのが特徴のひとつだ。大きさなど複数の種類があり、術者は瘤に合わせて選択する。
日本では2020年12月に保険収載。同院は昨年8月に1例目を行い、現在までに3例実施した。すべて手がけた兵頭明夫・脳血管内治療センター長は「手技そのものは20分程度と短時間ですし、抗血小板剤という血液がサラサラになる薬の服用期間も短いのが特徴です」と説明する。
ただし、すべてのケースに適用されるわけではない。従来の開頭手術では治療が難しく、かつ瘤が分岐部にあり、“ワイドネック型”と呼ばれる入り口が広い症例などに限られる。兵頭センター長は「限られてはいるものの、決して稀有な症例でもありません。ワイドネック型はコイルを詰めてふさいでも再開通したり、治療時間が長くなりがちなため、新たな治療の選択肢になり得ます」と強調する。
また、フローディスラプターはニッケルチタン製のため、金属アレルギーのある方には禁忌とされている。「欧州では10年以上前から利用されています。その後、いろいろ改良が加えられて、ようやく日本でも使えるようになりました。これから広がっていく治療法です」(兵頭センター長)。