
徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest

徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest
2024年(令和6年)05月20日 月曜日 徳洲新聞 NO.1441 3面
沖永良部徳洲会病院(鹿児島県)は「腹膜透析患者さん家族会」を院内で初めて開催した。腹膜透析患者さんたちの交流の場を創出するのが目的。参加者は病歴や日頃の悩みについて情報交換すると同時に、各専門職からアドバイスも受けた。同院は沖永良部島で唯一の透析施設。一般的な血液透析に加え2019年には腹膜透析も開始した。
参加者の自由な対話をベースに家族会は進行
腹膜透析は透析液を腹腔内に注入し、腹膜を通して不要な老廃物などを体内から除去する治療法。患者さん自身が自宅や職場などで点滴のように注入する方法や、約40㎝四方の装置を使って就寝中に自動で行う方法がある。
血液透析に比べて通院の必要が少ないため、自分の生活スタイルに合わせて行いやすい半面、透析室などで患者さん同士が顔を合わせる機会がなく、孤独を感じる患者さんもいること、医師や看護師らとコミュニケーションを図る時間が短いことなどを同院では課題と捉えていた。
とくに離島では腹膜透析を行っているケースが少なく、患者会や家族会なども都会のように多く開催されていないため、他の患者さんの情報を得にくい状況にある。企画した人工透析室の大野恵子・看護副主任は「治療に不安を感じないように病院としてサポートすることが大切だと考え『腹膜透析患者さん家族会』を企画しました」と説明。
家族会に手応えを示す大野・看護副主任(左)と岡馬・管理栄養士
第1回目は2月20日に開催。当日は患者さん3人と家族1人、病院から看護師や管理栄養士、臨床工学技士などが参加した。家族会は参加者のフリートークをベースに、各専門職がレクチャーを交えるかたちで進行。腹膜透析歴が浅い患者さんの悩みに対して、より経験している患者さんがアドバイスを送る場面も見られた。
会の途中、腎臓内科の診療支援で来院していた湘南鎌倉総合病院(神奈川県)の田邉一成・腎移植・ロボット手術センター長兼泌尿器科統括部長兼院長補佐も診察の合間を縫って参加、「診察やカルテでは、わからない患者さんの生活環境などもうかがえ良かったです」と振り返った。
食生活のレクチャーでは、岡馬もなみ管理栄養士が味付けや食材選びを工夫し、無理のない食事制限ができるようアドバイス。参加者が実際に塩分濃度の異なるみそ汁を飲み比べ、適切な塩分濃度を確かめることも行った。また同島は食事に豚肉料理が多く、「タンパク質の摂り方について注意点を説明しました」と岡馬・管理栄養士。
自動腹膜透析装置の操作や整備、トラブル解決方法の説明も行った。参加者からは「島内に“腹膜透析仲間”がいると知り、心強く感じました」、「日頃抱えていた悩みが解消できて良かったです」といった感想が聞かれた。今回参加できなかった患者さんに後日、会の模様を説明したところ、全員が次回の参加を希望。参加した職員からも「患者さんの悩みを知ることができました。今後の業務に生かしていきます」と前向きだ。
岡馬・管理栄養士は「過度に食事制限する必要がないとわかり、治療に前向きになっていただけた方もいました」と手応えを示す。大野・看護副主任は「参加者の不安軽減につながり、離島だからこそ家族会を行う意義があると感じました。今後も定期的に実施したいです」と意欲的だ。