徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest
Tokushukai medical group newspaper digest
2024年(令和6年)05月20日 月曜日 徳洲新聞 NO.1441 1面
福岡徳洲会病院は薬剤師レジデント制度を新たにスタートする。これは2年間の研修プログラムで、高度医療、離島・へき地医療に対応した臨床薬剤業務やチーム医療を実践することができ、科学的思考力を有する薬剤師の養成を目標としている。通常の採用活動と並行して募集を行っており、2025年4月に第1期生が誕生する予定。定員は2人で、新卒に限らず既卒でも応募可能だ。2年間という短い期間に、幅広い業務を経験し、高度な知識・スキルを習得できる機会を提供することで、薬物療法の質の向上に貢献していく考え。徳洲会グループ初の取り組みで、同院以外に千葉西総合病院も薬剤師レジデント制度の導入を計画しており、採用活動を開始する予定だ。
「徳洲会ならではの特色を生かし、魅力あるプログラムを提供します」と渡邊・薬剤部長
薬剤師レジデント制度の導入を発案した福岡病院の渡邊裕之・薬剤部長(徳洲会薬剤部会副部会長兼教育研修委員会委員長)は「薬剤師のレジデント制度を設けているのは、全国に約50施設と限られ、ほぼ大学病院で占められています。一方で、現在、国は薬剤師の資質向上や臨床実践能力向上のため、薬剤師の卒後研修の必要性について検討を行っており、将来的に卒後研修が必須となる可能性があります。薬剤師レジデント制度は、その受け皿になる仕組みであり、国の方向性に合致した取り組みです。また採用の幅が広がりますので、多様な人材の確保にもつながる施策であると考えています」とアピール。
手厚い教育体制の下、日頃からスキルアップ(福岡病院)
渡邊・薬剤部長は同院薬剤師レジデント研修プログラムの責任者も務める。
研修プログラムでは1年次研修(医療薬学一般コース)で調剤や処方監査、TPN(中心静脈栄養)・抗がん薬調製、レジメン監査、TDM(薬物血中濃度モニタリング)、麻薬管理、DI(医薬品情報)業務、病棟業務など、すべての薬剤師が身に付けるべき基本的臨床能力を習得するため、年間を通じ薬剤部の各部署をローテートする。病棟研修では全病棟をローテートし、持参薬確認、服薬指導、薬物治療管理、退院時指導や、さまざまなチーム医療、カンファレンスに参加する。
2年次研修(医療薬学専門コース)の目的は「より専門性の高い臨床薬剤師の業務を経験することで、質の高いチーム医療を実践できる高度な知識と技能を習得すること」。
そのため離島・へき地医療にも対応可能な病院薬剤師業務の習得を目指す「スキル/キャリアアップコース」、専門的な分野を集中的に学び専門薬剤師に向けての知識・技術を深めることを目指す「がん専門コース」、「感染制御専門コース」などを用意。どのコースを選択した場合でも、中央業務研修、離島・へき地での地域医療研修、各専門コースに関連した病棟研修を行い、専門性の高いチーム医療や多職種連携も学ぶ。
さらに、こうした研修と並行し、科学的思考力の習得のため、自ら臨床研究計画を立案して指導薬剤師の下で臨床研究を行い、学会発表や論文抄読会、症例報告などにも取り組む。
レジデントは研修中であることを考慮し残業や夜勤は原則行わない。17時以降は自己研鑽の時間にあてる。またレジデントは常勤薬剤師と遜色ない待遇であり、生活に不安を抱えることなく研修に専念でき、研修修了後は、病院とレジデントの双方が合意すれば常勤薬剤師として優先採用する。
渡邊・薬剤部長は「徳洲会グループでは薬剤師レジデント制度を導入する施設として、関連学会から研修施設認定を受けていることや、過去5年間で少なくとも50人以上の薬学生および外部薬剤師の受け入れ実績があることなど条件を設けました。しっかりとした教育体制の下でレジデントを受け入れていきます。徳洲会ならではの離島・へき地研修など特色を生かした魅力あるプログラムを提供し、レジデントの育成を通じ医療の質の向上に貢献していきたい」と意気込みを語っている。