徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2024年(令和6年)05月07日 火曜日 徳洲新聞 NO.1439 4面

千葉西病院
患者さんセルフケア支援
電子患者日誌で薬の副作用から守る

徳洲会グループは、薬の副作用から患者さんを守る電子患者日誌「薬の安全まもるくん」を開発、患者さんのセルフケア(自己管理)を支援するとともに、病院薬剤師と保険薬局薬剤師が患者さんの情報を共有するなど“薬薬連携”を通じ、適時の介入につなげている。千葉西総合病院が開発を主導した。患者さんはスマートフォンから日々の体調などを入力する。検査・処方データを取り込むなど電子カルテとの連携も図っている。2023年から、がん化学療法を行う患者さんを対象に実運用しており、目下、同院を含む13病院と、保険薬局4事業所の多施設で、有用性を調べる臨床研究にも取り組んでいる。

がん化学療法受療患者さんが対象

「ビッグデータを活用することで医療の発展にも貢献」と小茂田顧問(右)、香取・化学療法担当薬局長

「薬の安全まもるくん」は、がん化学療法を受けている患者さんが自分の体調などを、クラウド上の専用サイトに自身で入力するスマホアプリだ。日々の入力を通じ、患者さんが自身の体調変化に気づきやすくなることからセルフケアの推進につながるとともに、病院薬剤師は患者さんの外来化学療法時の状況を薬局薬剤師に情報提供し、薬局薬剤師は患者さんの日々の入力内容を確認して、薬局のテレフォンフォローアップにも活用される。緊急性の高い副作用が疑われる場合には、患者さんに電話連絡し、受診を促すことも可能だ。次回の来院時には薬局薬剤師からの情報をふまえた対応・介入をスムーズに行うことができる。

体調など入力は質問に答えていく形で行う。項目は、その日の調子や気分、熱っぽさ、体温、だるさの程度、体重、血圧、食事量、お通じ(排便回数、お通じの頓服薬の服用有無、便の性状と量)、吐き気と程度、嘔吐の有無と時刻、頓服の吐き気止めの効果、痛みの有無と部位・程度、その他の症状(irAE[免疫関連副作用]の初期症状にも対応した多数の選択肢から回答)と程度――がある。これらを時系列で表示したり、経時的な変化をわかりやすくグラフ化したりする機能も備わっている。

また、電子カルテと連携しているため、患者さんは、この電子患者日誌上で処方内容や検査データを見ることもできる。

病院薬剤師や薬局薬剤師は、それぞれ専用の医療側サイトにアクセスすることで、複数の患者さんの状況をひと目で確認できる。何らかの症状が出ている場合、その患者さんの欄が症状に応じてマーカー表示される工夫を施している。さらに、患者さんごとに介入内容を記録できるほか、お互いにその内容を共有し、連携しながら患者さんを副作用から守っていくのが、「薬の安全まもるくん」の機能だ。

患者報告アウトカム電子システムを参考にし開発

電子患者日誌の画面。時系列で体調変化を確認できる 患者さんが入力した内容をがん専門薬剤師が確認

「薬の安全まもるくん」の開発は、千葉西病院の小茂田昌代・薬剤部顧問(薬剤師)が2020年4月に入職したことがきっかけでスタート。小茂田顧問は、大学や民間病院で教育や臨床に長年携わってきた。その過程で、副作用チェックシートや薬剤管理指導記録からなる薬学的管理支援システムを開発。その後、11年当時、非常勤講師をしていた大学附属病院で、乳腺外来の診察時に医師に陪席する“臨床薬剤師業務”に従事。薬物療法に関して医師を支援する業務だ。

「薬剤師が診察前に患者面談を行っていました。吐き気や発熱、食欲など前回の化学療法後の経過の聞き取りを行うのですが、治療に慣れてくると、そうしたことを忘れてしまう患者さんも少なくありませんでした。そうなると聞き取りに時間がかかるだけでなく、次の治療や、副作用を乗り切るための適切な支持療法の提案に影響する可能性が生じてしまいます。そこで、患者さんにセルフケアの意識を高めてもらい、自宅で効率良くセルフケアができるツールの必要性を感じました」と小茂田顧問は開発経緯を説明する。「日々の記録を残せて、次の治療に活かすことのできる仕組み」を構想したのもこの時だ。

参考にしたのはePRO。これは、健康状態などについて患者さんが医療者の解釈を介さず直接、電子的に報告を行うシステムをいう。米国を中心に新薬開発の臨床試験に使われ、徐々に実臨床でも使われ始めている。

小茂田顧問は「徳洲会病院で活用すれば、レジメン(治療計画)ごとの副作用や支持療法に関する貴重なビッグデータを得られます。それをもとに新たなエビデンス(科学的根拠)を構築することで医療の発展への貢献にもつながります」と展望。

香取哲哉・化学療法担当薬局長は「がん治療は“症状と副作用のサポート”をすることが大切です。患者さんの状態を日々知ることができるため、より患者さんと伴走しているような気持ちで、治療チーム全体をけん引していければと考えています」と抱負を語る。

出雲貴文・薬剤部長は「化学療法の患者さんは、ほぼ外来ですので、いかにセルフケアを実行できるかが、とても重要になります。電子患者日誌は、患者さんの“見守りツール”とも言えるものです。ぜひ患者さんたちに活用していただき、同時に私たち病院薬剤師と地域の保険薬局が連携し、患者さんを支えていきたい」と意気込んでいる。

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