徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest
Tokushukai medical group newspaper digest
2024年(令和6年)05月07日 火曜日 徳洲新聞 NO.1439 1面
徳洲会グループ10病院の医療データが4月、医療情報データベース「MID-NET」で新たに利用が可能になった。MID-NETに参画している徳洲会病院は合計20病院となり、医薬品の安全調査に利活用することができるMID-NETのデータは800 万人超(うち徳洲会は約480万人分)に増えた。
「データの提供を通じて医療の質向上に貢献していきます」と野村薬局長(左)、藤村部長
MID-NETは匿名化した大量の医療情報を活用し、医薬品の安全対策を目的としたデータベース(DB)。医薬品にかかる健康被害救済、承認審査、安全対策の役割を一体的に行う公的機関「医薬品医療機器総合機構」(P
MDA)が2011年に構築を開始し、18年に本格稼働した。データを提供するのは協力医療機関で、18年当時は全国10拠点23病院でスタート。
協力医療機関は自院の電子カルテ、レセプト(診療報酬明細書)、DPC(診断群分類別包括評価)、検査など各種データを標準化・匿名化し、MID-NET用のDBに保存する。PMDA、製薬会社、学術研究機関など利活用者の申請があり、PMDAが審査を行ったうえで利用承認した課題について、協力医療機関が受諾するとDBからMID-NETにデータを転送、個別のデータを統合し、利活用者にデータ提供する仕組み。
データの利用は、医薬品の安全対策や公益性の高い調査・研究に限られる。一般社団法人徳洲会大阪本部の野村浩子薬局長はMID-NETの意義を「未知の副作用が見つかり、添付文書の改訂につながった医薬品もあります」と強調する。
徳洲会グループはMID-NETが公益性に資することから、18年の本格運用開始時に宇治徳洲会病院(京都府)など10病院が参画。徳洲会インフォメーションシステム(TIS)が、同DBの対応を一手に引き受けている。TISの藤村義明・開発部長は「協力医療機関には、さまざまなコード(符号)で管理したデータの提供が求められます。徳洲会はコードによる情報管理を2010年頃から推進していたため、本格運用開始時からスムーズに協力できました」とアピールする。
本格運用開始後、1,000万人規模のデータ量を目指すPMDAから、さらに協力要請があり、情報管理体制などから和泉市立総合医療センター(大阪府)など10病院をピックアップ、データを提供するための環境を整え、4月に協力を開始した。新たに加わったデータ量は160万人超となり、MID-NETのデータ量は800万人分を超えた。
また、徳洲会には患者さんが多い疾患のデータ提供も期待されている。協力医療機関は、高度医療中心の大学病院などが大半。徳洲会病院は糖尿病や高血圧をはじめとするコモンディジーズ(一般的な疾患)も多く診ており、これらの疾患に関連する医薬品の情報も多く保有しているのが強みだ。
野村薬局長も「医薬品の安全確保に、さらにつながると思います」と期待を寄せる。藤村部長は「徳洲会は直接的な医療の提供だけでなく、医療データの提供という間接的な側面からも患者さんを支えてまいります」と力を込める。