徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest
Tokushukai medical group newspaper digest
2024年(令和6年)04月22日 月曜日 徳洲新聞 NO.1437 1面
2024年度診療報酬改定にともない、徳洲会11病院が厚生労働省からDPC(診断群分類別包括評価)特定病院群の指定を受けた(表)。2年前の前回改定では10病院だったが、今改定で福岡徳洲会病院、和泉市立総合医療センター(大阪府)の2病院が、標準病院群から新たに特定病院群に格上げとなった。また、今回から公表がスタートした救急補正係数では、八尾徳洲会総合病院(大阪府)が特定病院群のなかで全国2位と高い評価を受けた。
多診療科でロボット手術を行うなど診療機能の向上を続ける和泉医療センター
DPC(Diagnosis Procedure Combination)は診断群分類(傷病名や治療内容などによる分類)ごとに定めた包括点数に基づく急性期入院医療の定額支払い方式をいう。
厚労省は急性期病院であるDPC対象病院を、大学病院本院群、同群に準じた高い診療機能を有する特定病院群、それ以外の標準病院群の3群に分類。24年度診療報酬改定をふまえ厚労省が発表した資料によると、DPC対象病院は計1,786病院で、このうち大学病院本院群が82病院、特定病院群は178病院と全体の約1割にとどまり、市中の急性期病院にとっては狭き門だ。
厳しい実績要件をクリアした病院だけが特定病院群に入れることから、同群への指定は、高機能な急性期病院であることを示す第三者認証を得るのと同等の重みがある。
特定病院群になるには、大学病院本院群に準じた一定の基準をクリアしなければならない。具体的には①診療密度、②医師研修の実施、③医療技術の実施、④補正複雑性指数――の4要件だ。研修指定病院として初期研修医の育成に力を入れながら、濃厚な診療を必要とする重症患者さんを多く受け入れ、外科系・内科系ともに難易度の高い治療行為に取り組む病院が指定を受けられる仕組みで、地域の基幹病院を評価するための制度といえる。
またDPC対象病院は、診療体制や診療行為の実績がさまざまな観点から評価され、「機能評価係数Ⅱ」という係数が割り当てられる。急性期病院として適切に運営し、地域医療などへの貢献度が高い病院ほど高い係数となり、保険診療指数、効率性指数、複雑性指数、救急医療指数、カバー率指数、地域医療指数――の6指数を総合して算出される。ただし、今改定で一部見直しが行われ、救急医療指数が機能評価係数Ⅱからはずれ、独立した「救急補正係数」として評価されるようになった。救急搬送などにより緊急入院した患者さんに対する入院後2日間の医療資源投入量で評価を行う。重症患者さんの救急受け入れに貢献している病院が高く評価される係数だ。24年度診療報酬改定では、22年10月から23年9月まで、一部コロナ禍期間を含む12カ月間の実績値をもとに、各医療機関の係数が算出されている。
徳洲会グループは“医療の原点”として創設当時から救急医療に注力。全国各地で徳洲会病院は救急搬送の受け入れに懸命に取り組んでおり、厚労省が発表した医療機関別の救急補正係数でも浮き彫りとなった。全国の特定病院群のなかで、八尾病院が2位、千葉西総合病院が3位にランクイン。5位に岸和田徳洲会病院(大阪府)、6位に名古屋徳洲会総合病院、7位に湘南鎌倉総合病院(神奈川県)、8位に野崎徳洲会病院(大阪府)、9位に福岡病院、10位に札幌東徳洲会病院、さらに13位に松原徳洲会病院(同)、14位に宇治徳洲会病院(京都府)と、トップ15内に10病院が入った。なお松原病院は複雑性係数が全特定病院群中、最高値だった。
このほか係数には、人員配置や医療機関全体として有する機能など病院の構造を主として評価する機能評価係数Ⅰもある。
今回初めて特定病院群になった福岡病院の栗栖雅幸事務長は「当院はコロナ禍でも変わらず、一貫して救急の受け入れに尽力するとともに、通常診療の維持に努めました。また、急性期病院としての機能を最大限に発揮するため、医療の質を高めながら平均在院日数の短縮などにも取り組んできました。今回、特定病院群になれるか微妙なところでしたが、このような方針・活動が特定病院群入りにつながったと考えています。とくに岸良洋一・医事部会長をはじめ徳洲会医事部会による分析や助言によるところが大きかったと思います」と分析。
続けて「当院は“断らない救急”を実践し、年間約1万件の搬送を受け入れています。救急補正係数で高い評価を得られたことは、とてもうれしいです。これからも地域の中核病院として、救急に加えて幅広い分野の傷病に総合的に対応できる病院として機能強化を目指します」と意気込みを語る。
和泉医療センターの竹原浩二・事務部長は「ロボット(ダヴィンチ)手術は泌尿器科に加えて、呼吸器外科や婦人科、消化器外科の各領域に広がり、難易度の高い手術件数も増えてきました。以前は内科をベースとした病院というイメージが強かったですが、外科領域も伸長しており、より総合病院らしく成長してきたことが特定病院群になれた要因といえます」と指摘。手術の増加にともない今夏には2台目のダヴィンチを導入する計画もあり、先端的な治療の提供などを通じて、ますます地域医療に貢献していく構えだ。
特定病院群で救急補正係数が全国2位だった八尾病院。同院の酒匂精一事務長は「救急には力を入れていますが、まさか2位になるとは想定していませんでした。当院は外科、循環器内科や心臓血管外科、脳神経外科などに強みがあり、救急では重症の患者さんを含め多くの搬送件数、入院を受け入れています。また緊急入院や緊急手術の症例も増加しています。こうした当院の特徴が今回の結果につながったのだと考えます」と説明している。