徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest
Tokushukai medical group newspaper digest
2024年(令和6年)04月08日 月曜日 徳洲新聞 NO.1435 4面
徳洲会グループ初の介護医療院として2021年にオープンした山北徳洲会介護医療院(新潟県、60床)。開設から丸3年が経過し、現在は稼働率も安定するなど軌道に乗りつつある。最期まで地域で暮らすことを望む地元の方の思いに応えようと懸命だ。
「最期まで地域で暮らすことを支えます」と山下・看護責任者
介護医療院は医療を必要とする要介護高齢者の長期療養・生活施設。介護保険が適用され、具体的には要介護1~5の方を対象に、経管栄養(胃瘻など)や喀痰吸引、インスリン注射など日常的な医学管理といった医療機能に加え、生活の場としての機能も兼ね備えている。“終の棲家”にもなるケースもあり、看取りやターミナル(終末期)ケアなどにも対応する施設だ。入所者数に応じて医師、看護職員、介護職員の配置基準が定められている。
「さんぽく祭2023」で入所者さんの作品を展示
同介護医療院は山北徳洲会病院の医療療養病床と介護療養病床を転換するかたちで21年に開設。院内には介護老人保健施設(老健)優和の里(入所定員100人)も併設し、一般病床、介護医療院、老健、訪問診療・看護・介護と、医療・介護、施設・在宅を一体的に提供し地域を支えている。
同介護医療院には医療・介護療養病床に入院していた患者さんが転換後、継続して入所しているケースや、一般病床で治療を終え、退院後に入所するケースが多い。開設から丸3年が経過した現在、稼働率は約9割と安定しており、施設の運営も軌道に乗りつつある。
同介護医療院の山下昭二・看護責任者(山北病院看護部長)は「当施設がある地区は独居や老老介護の方が多く、退院しても在宅生活の継続が難しいケースが少なくありません。しかし、自宅に戻れなくても住み慣れた地域で最期を迎えたいと望まれる方が多く、そのため長期入所できる施設へのニーズが高いのです」と説明する。
入所者さんの希望をかなえようと、開設当初から看取りに注力、毎年20人前後を看取っている。看取り期は個室を用意し、新型コロナ禍でも面会制限を設けず、家族が自由に行き来できるように配慮。「最期の瞬間まで一緒に過ごすことができて良かったです」と声が寄せられることも少なくないという。
もちろん、看取り以外でも山北病院の医師らが迅速に対応したり、老健の職員と協力したりと、同一施設内に複数の機能をもつメリットを生かしたケアを提供。安心して過ごせる環境づくりに余念がない。
生活の場として、入所者さんの日常に変化を付けるための取り組みも多数実践。レクリエーション活動をしたり、季節を感じられる飾りを掲示したりするなど「自宅での暮らしに少しでも近い環境を整えるよう腐心しています」と山下・看護責任者は強調する。22年9月には広報誌『いちにの山北』を創刊。入所者さんの日常生活を家族に伝えている。「『介護医療院での生活を楽しんでいる様子がわかる』と、ご家族からの評判も良いです」(山下・看護責任者)
昨年から地域交流にも一層力を入れ、11月には地元で開催された「さんぽく祭2023」の文化部門に初参加。入所者さんが作成した小物入れなどを展示したところ、好評を博した。
「コロナ禍もあり、地域の方に当施設について十分周知できていないのが現状です。今年度は地域の介護事業所などを積極的に訪問し、『最期まで地域で暮らす』ことを支える介護医療院という施設があることを広めていきます」と山下・看護責任者は展望する。
徳洲会グループでは4月に静岡徳洲会病院介護医療院ゆうかりの木陰(41床)がオープン。介護医療院は2施設になった。