徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest
Tokushukai medical group newspaper digest
2024年(令和6年)04月08日 月曜日 徳洲新聞 NO.1435 3面
「ERでの入院・帰宅判断にはシステムをうまく組み込むべき」と亀井総長
湘南藤沢徳洲会病院(神奈川県)の亀井徹正総長は、「救急外来から帰宅後の心停止を減らすために~GAPS(グラスゴー入院予測スコア)の使用経験~」と題し解説。ER(救急外来)で決めなければいけないことには「診断をすること」、「患者さんを治療すること」のふたつがあるが、これらに加え「入院か帰宅かを決めること」も重要であり、帰宅後の心停止を減らすためには、システムをうまく組み込む必要があると強調した。
そこでGAPSの活用を提案。これは英国で開発されたスコアで、診断にかかわらず患者さんの脆弱性、病状の不安定さを評価する。スコアの内容は年齢、NEWS(早期警告スコア)、トリアージ(緊急度・重症度選別)、診療所からの紹介など項目を点数化したものだ(16歳未満は使用できない)。
同院でGAPSを試験運用した結果を報告。2020年から2年7カ月間、救急車でERを受診しGAPSを測定した2万2,472例を対象に検証したところ、低リスク、中リスク、高リスク群間で、そのアウトカム(30日以内の死亡、ER再受診、入院)に有意差があったと強調。また死亡リスクについては、中リスク群は低リスク群に比べ1.78倍、高リスク群は低リスク群に比べ18.4倍と示した。
亀井総長は「ERでの入院・帰宅判断では、医療安全・リスク管理のシステムを起動して意思決定するべきです。その際にGAPSを参考にしていただき、患者さんの心停止を少しでも減らしていけたら良いと考えます」と訴えかけた。