徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2024年(令和6年)04月08日 月曜日 徳洲新聞 NO.1435 3面

3月度 徳洲会グループ医療経営戦略セミ
日比野・湘南藤沢病院部長
徳洲会挙げ新型コロナ研究
抗ウイルス薬による重症化予防など

徳洲会呼吸器部会部会長の日比野真・湘南藤沢徳洲会病院(神奈川県)呼吸器内科部長は、徳洲会グループが実施している新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する前向き観察研究について報告した。研究は2月にスタート。

「意義ある研究なので、患者さんに参加の声かけを」と日比野部長

同研究は徳洲会76病院による多施設共同研究。外来、入院問わずコロナ患者さんを対象に大規模データを集積・解析し、「エンシトレルビル(商品名:ゾコーバ)を含む抗ウイルス薬による重症化予防」や「Long COVID(COVID-19の後遺症)発現リスク低減」に関するエビデンスの構築を目指す。日比野部長が研究代表医師。

方法は、患者さんへのアンケート調査。急性期の臨床経過や、発症後3カ月までの重症化と罹患後の症状の発生頻度、労働生産性への影響などを評価・検討する。目標症例数は10月までに2万例、そのうち1万例以上は抗ウイルス薬投与例だ。

日比野部長は、これまでに16施設から249例が集まっていることを報告し、「当研究により、抗ウイルス薬による重症化予防の効果がわかることに加え、後遺症の発生を抑制したり、COVID-19による労働生産性の低下を押しとどめたりする効果などを検証できます」と意義を強調。

そのうえで、参加する患者さんと施設の負担について説明。たとえば外来患者さんの場合、①診療時に研究の同意書へ署名、②禁忌薬のチェック、③②で問題ない場合、患者さんはタブレット端末で問診ならびにアンケートに回答、④1、3カ月後にメールまたは電話でアンケート回答――と何度も通院する必要がない点や、自費検査や徳洲会以外の医療機関でCOVID-19陽性と診断された患者さんも参加可能で、参加した患者さんには謝礼として患者負担軽減費が支払われる点などを挙げた。

施設に対しては、患者さんに研究内容を説明する資料をすでに用意していることや、事務管理料の支払いなども予定していることをアピール。とくに禁忌薬のチェックが煩雑なことから、医師だけではなく、治験コーディネーターや薬剤師らと協力することを促した。

最後に日比野部長は「COVID-19自体は罹患しても重症化するケースが減ってきていると言われており、治療法が確立しつつあります。その一方で後遺症に対する日本の大規模なデータはないのが現状です」と指摘、「徳洲会グループのスケールメリットを生かせる意義ある研究です。患者さんに研究参加の声かけを積極的に行ってください」と呼びかけた。

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