徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest
Tokushukai medical group newspaper digest
2024年(令和6年)03月25日 月曜日 徳洲新聞 NO.1433 2面
宇治徳洲会病院(京都府)は地域の病院、介護施設が提供している嚥下調整食の一覧表作成に力を入れている。食形態に関する情報を地域で共有し、転院後や退院後も適切な食事提供の継続を目指す。
「やまきた嚥下食マップ」を手にする赤尾室長
嚥下調整食の一覧表は、患者さんの状態に合わせて提供している「食事の種類」(なめらか食や嚥下食など)、「食形態」(ペースト状やゼリー状など)、「食事の特徴」(食材の大きさを含む)、「1食分の写真」などを病院、施設ごとにまとめたもの。「日本摂食・嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類2013」を指標に、とろみのレベルなども記載している。
同院が一覧表の作成に着手したのは18年。自院の嚥下調整食の一覧表を作成した際に、他院の情報も必要と気付いたことが背景にある。赤尾志・栄養管理室長は「たとえば ペースト食といっても自院と他の施設とでは水分量が異なり、患者さんに適さない可能性もあります。一覧表を用いて各施設で提供している嚥下調整食の情報を把握し、受け入れ時の食事提供や転院・退院時の栄養情報提供書の作成などに活用してもらうことを目指しました」と説明する。
最初、赤尾室長は京都私立病院協会と連携し「京都私⽴病院協会嚥下⾷⼀覧表」を作成、WEB上で公開。現在までに徳洲会グループの病院含め京都府内の94私立病院の協力を得た。
22年には、山城北保健所と連携し管内の病院(公的医療機関含む)と介護施設の情報をまとめた「山城北保健所管内嚥下調整食一覧表(やまきた嚥下食マップ)」を作成。WEB上で公開していないものも含め、現在200以上の病院・施設が協力。
「どちらの一覧表も写真を掲載しており、視覚からも食事の情報が伝わりやすいと好評です」と赤尾室長。
転院先の病院や施設から同院に食形態に関する問い合わせが減り、事務負担の軽減にもつながっている。赤尾室長は「地域で情報共有を図り、適切な食事がどこでも摂れるようにしていきたいです」と意気軒高だ。