徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest
Tokushukai medical group newspaper digest
2024年(令和6年)03月18日 月曜日 徳洲新聞 NO.1432 2面
出産後、数週間~数カ月に極度の気落ち(喜びの喪失)やイライラなどを引き起こす状態を産後うつという。原因はさまざまで、産後のホルモンバランスの崩れ、授乳による不眠、育児への不安やストレス、頼れる人がいないなかでの育児(ワンオペ育児)などが複合的に絡み合うと起こりやすい。
「少し古いデータになりますが、2016年の国立成育医療研究センターの発表では2年間で92人の女性が出産後1年以内に自殺で亡くなりました」と吹田徳洲会病院(大阪府)の實村誉子・看護師長は深刻さを指摘。産後うつは、自分自身で気付かないこともあり、實村師長は「出産後も悩みを打ち明けることができる相談場所、育児や家事などのサポート体制をつくることが大切です」とアドバイスする。配偶者が母子に寄り添い、育児・家事などを一緒に考え担うことも重要だという。
同院では5市町の保健センターと連携の下、産後うつで自殺する産婦をひとりでも多く救えるよう産後ケアに尽力。また産後の女性に対し、母乳外来や産後ヨガなど積極的に実施している。「妊娠期からのヨガクラスをとおして交流した母親たちが、産後もヨガに参加し交流を続けることで母親のエンパワーメントの引き出し、産後うつの防止にもつながると思っています」。今後も妊娠-出産-産後と、きめ細やかな切れ目のない支援をしていく方針だ。