徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest
Tokushukai medical group newspaper digest
2024年(令和6年)03月11日 月曜日 徳洲新聞 NO.1431 3面
第39回日本臨床栄養代謝学会学術集会(JSPEN2024)が2月15日から2日間、神奈川県で開催された。テーマは「All Together」。徳洲会グループは急性期栄養療法から周術期管理、口腔機能評価などのテーマで合計17演題を発表した。主要プログラムを中心に紹介する。
「見た目から涼しさを感じる食事になるよう工夫」と土屋副室長
「個々の病院の実情に沿ったプロトコル作成や実装戦略立案が重要」と淺見部長
「投与速度に影響を及ぼす要因は複数あります」と山田・管理栄養士
「患者さんのQOL向上につながります」と玉森部長
武蔵野徳洲会病院(東京都)の土屋輝幸・栄養管理室副室長は「患者さんのための見た目にも美味しい病院食コンテストグランプリ講演」を行った。JSPENが今年新たに企画した同コンテストで、グランプリを受賞したことによる。土屋副室長は献立を紹介し「ポン酢をジュレ状にして涼しさを演出」など工夫をアピールした。
日本集中治療医学会との合同シンポジウムで、武蔵野病院の淺見貞晴・循環器内科部長が「栄養投与プロトコル」と題し講演。プロトコルに関する最新のエビデンスを紹介後、徳洲会栄養部会早期栄養介入ワーキンググループでのプロトコルに関する取り組みやアンケート結果を報告。「『日本版重症患者の栄養療法ガイドライン』が、今年改訂され、これを契機として、エビデンスにのっとった栄養療法を重症患者さんにうまく届けられるよう、個々の病院の実情に合わせたプロトコル作成や実装戦略立案を行うことが重要です」と語った。
シンポジウムでは、山内病院(神奈川県)の山田桐絵・管理栄養士が「相互接続防止コネクタの経鼻栄養カテーテルにおける濃厚流動食通過速度検証と速度に影響を与える要因の検討」をテーマに発表。相互接続防止コネクタに係る国際規格が国内に導入され数年が経過、変更による臨床上のメリット・デメリットと対策などについて多職種で議論が行われた。山田・管理栄養士はガイドライン推奨の内径の経鼻栄養カテーテルで、濃厚流動食の投与速度に影響を与える要因を検証、コネクタの形状やカテーテルの内径、濃厚流動食の粘稠性(粘りの度合い)以外にも、製剤の安定性や組成など複数の要因を明らかにし、「細径のカテーテルで投与する際は濃厚流動食の特性の検討の必要があります」と指摘した。
ワークショップでは、和泉市立総合医療センター(大阪府)の玉森豊・上部消化管外科部長が「上部消化管周術期管理におけるPTEGの利用」と題し発表。自院では、上部消化管手術の周術期経管栄養などに対し、首元から食道を経由して胃腸に管を通すPTEG(経皮経食道胃管挿入術)を積極的に実施していることを紹介し、PTEG造設後に状態が改善し抜去に至った症例などを提示。「PTEGは、きちんと理解したうえで行えば安全で低侵襲な手技。鼻から管を通さずにすむなど、患者さんのQOL(生活の質)向上につながります」と強調した。
その他の発表は次のとおり。【口演】▼青木綾子・宇治徳洲会病院(京都府)管理栄養士「当院の集中治療室における早期栄養開始時間の検討について」▼南野智志・八尾徳洲会総合病院(大阪府)薬剤師「大腸癌術後補助化学療法開始時のmGPS とRDI の調査」▼神賀貴大・仙台徳洲会病院外科部長「Stage Ⅳ大腸癌患者の予後因子としてのCRP-albumin ratio とneutrophil-lymphocyte ratio の組み合わせの検討」▼姜良順・岸和田徳洲会病院(大阪府)歯科口腔外科医長「口腔評価管理システム導入前後における職種間の口腔機能評価の差についての検討」▼土屋・武蔵野病院栄養管理室副室長「ハイケアユニット入室時間の見える化が経腸栄養の早期開始に与えた効果」【ミニオーラル】▼加藤大輝・名古屋徳洲会総合病院リハビリテーション科副主任(理学療法士)「コンプライアンス不良の肥満患者に対し、至適栄養量設定と運動処方にて、減量と階段昇降獲得に至った症例」▼赤尾志・宇治病院栄養管理室長「徳洲会グループ栄養部会早期栄養介入分科会の活動について」▼髙橋敬子・湘南藤沢徳洲会病院(神奈川県)栄養管理室主任(管理栄養士)「ICUにおける早期栄養開始の実態調査〜そして、改善に向けての取り組み〜」▼村山敦・岸和田病院歯科口腔外科副部長「VEで完全側臥位法による嚥下機能の改善が期待でき完全側臥位VF 施行後に直接訓練が開始できた1 例」【ポスター発表】▼小山洋史・八尾病院栄養科室長「グループ病院の管理栄養士病棟配置への取り組み」▼永沼智至・吹田徳洲会病院(大阪府)薬剤部主任(薬剤師)「SCUでの早期栄養介入加算の算定状況と患者背景について」▼山下正勝・名古屋病院呼吸器外科医師「胃部分切除後に遷延する消化器症状に対して、六君子湯と経腸栄養剤の併用が効果的であったと考えられた一例」▼寺内京子・岸和田病院栄養科副室長「当院におけるCONUTスコア高度栄養不良患者の実態調査」▼馬島礼・福岡徳洲会病院薬剤師「エネフリード輸液の適正使用推進のための職種横断的な取り組みと評価」