徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest
Tokushukai medical group newspaper digest
2024年(令和6年)03月11日 月曜日 徳洲新聞 NO.1431 2面
湘南藤沢徳洲会病院(神奈川県)機能的神経疾患センターは、音楽家ジストニアを発症した患者さんへの手術治療に奏功した。音楽家ジストニアとは、楽器演奏時の特定動作でのみ身体のコントロールが利かなくなる病気で、動作特異性ジストニアの一種だ。
手術中に簡易ドラムセットで治療効果を検証 実際にピアノを弾いて指の伸展具合を確認
昨年9月にドラム・ギター奏者、今年1月にピアニストの患者さんの音楽家ジストニアに対し高周波脳凝固術(RF)を行い、改善を認めた。ドラム・ギター奏者の患者さんは演奏時に右の手首が反り返ったり肩が挙上したりする症状、ピアニストの患者さんは演奏時に左手の中指、薬指、小指が屈曲したまま伸ばせない症状に悩まされていた。
RFは脳の患部を細い電極で焼灼(熱凝固)する治療法。鎮静下で頭蓋骨に小さな穴を開けた後、脳に電極を挿入、続いて鎮静状態から元に戻し、覚醒下で試験的に電気刺激を加え、治療効果と合併症の有無を確認してから、出力を上げ焼灼する。試験刺激の際には、実際に楽器を弾きながら検証する。
機能的神経疾患センターへの問い合わせはここから
山本一徹・機能的神経疾患センター長は「スポーツ選手のイップス(特定の運動を行う際に見られる動作の異常)もそうですが、プロであれば生活のため、プロでなくても人生を豊かにするために、症状を改善したいと思う方は多くいます。“心の病”ではなく、脳の治療により改善が期待できることを周知していきたいです」と意気込む。
1月に山本センター長がMBS毎日放送の人気番組『情熱大陸』に出演した後、多くの問い合わせがあり、手術待機もさらに増えている。手術待機期間を短縮するため、RFや脳深部刺激療法(DBS)に用いる機器の追加導入や手術枠の増加も行い、「手術待機が長引き、申し訳なく思っています。今後も複数の治療法を駆使し、患者さんのニーズに応えていきたいと思います」と意気軒高だ。