徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest
Tokushukai medical group newspaper digest
2024年(令和6年)03月04日 月曜日 徳洲新聞 NO.1430 4面
「治療が進歩しているので、最新の知見に基づいた治療を届けることが大事」と大橋部長
鎌ケ谷総合病院(千葉県)は「千葉MS診療連携ネットワーク」の運用を開始、順調に推移している。これは多発性硬化症(MS)、視神経脊髄炎(NM-OSD)、MOG抗体関連疾患(MO-GAD)に関する医師からの相談に、これらの疾患を専門領域とする医師がオンラインで応える遠隔コンサルテーションシステム。より良い治療を迅速に患者さんに届けることを目的に、大橋高志・脳神経内科部長が県内の大学病院の医師5人と連携して立ち上げた。
やり取りはMediiの医師専用オンライン専門医相談サービスを活用。同サービスに登録した医師が質問すると、大橋部長ら6人の医師が回答する。コミュニケーションは原則、チャットだが、国のガイドラインにのっとったセキリュティシステムの下、患者さんの個人情報に配慮した画像添付も可能だ。
MS、NMOSD、MOGADは、いずれも自己免疫性神経疾患。脳の神経を覆っている髄鞘が炎症によって壊れ、神経の線維がむき出しになり傷つくことなどによって脱力、しびれ、視力低下など、さまざまな神経症状を繰り返す。症状の重さや治療方法は異なり、このうちMSとNM-OSDは国から難病に指定されている。原因をはじめ疾患の全貌は明らかになっていない。
大橋部長は30年以上にわたり、こうした疾患の治療に従事。米国に留学してMSの基礎研究に取り組んだ経験や、患者さんの会であるNPO法人MSキャビン副理事長としての活動実績ももつ。昨年6月に同院に入職し、MS関連の診療経験が豊富な医師が県内に複数いること、Mediiのサービスを知ったことから、同ネットワークを発足。
「MS関連の疾患は希少疾患のため、診断や治療方針の判断は難しく、専門医でも迷うケースが少なくありません。専門とする医師も少なく、患者さんが“医療難民化”しがちです。患者さんにも医療機関にも有益な仕組みをつくりたいと思いました」と大橋部長。「“多発性硬化症センター”というように、患者さんの集約化を図るのも、ひとつの方法ですが、遠方の方は来られません。こちらからアドバイスして地域の医師に診てもらう方法もあると良いと思います。この取り組みを全国に広げていきたいです」と気を吐く。