徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest
Tokushukai medical group newspaper digest
2024年(令和6年)03月04日 月曜日 徳洲新聞 NO.1430 3面
羽生総合病院(埼玉県)は羽生市総合防災訓練に参加した。これは、防災関連機関の連携強化や防災技術・意識の向上を図るため、同市内の各種団体や事業者などを集めて市が主催している訓練。羽生市消防本部訓練場を会場に、同院所属のDMAT(国の災害医療チーム)隊が現場救護所でトリアージ(重症度・緊急度選別)や応急処置、同院職員が傷病者の搬送業務など役割を担い、他機関との連携を深めた。
現場救護所・治療エリアで応急処置を行う羽生病院DMAT (右から)柏崎看護師、山口副主任、年神看護師、松﨑部長、大久保・救急救命士、杉原・救急救命士 病院救急車で後方医療機関へ搬送
訓練では水害と地震の複合災害を想定した。記録的な大雨により市境を流れる利根川の氾濫を警戒し、羽生市は市内全域に高齢者などの避難を勧告。さらに震度6強の地震により、家屋倒壊、火災発生、ライフライン途絶など甚大な被害の発生を仮定した。
参加機関は羽生病院、羽生市役所、羽生市消防本部、羽生市医師会、羽生警察署、陸上自衛隊、羽生市社会福祉協議会など多数。災害医療訓練に加え、被災地調査訓練、災害広報訓練、初動活動訓練、初期救出訓練、水防工法訓練、道路啓開訓練、ライフライン応急復旧訓練、給水訓練など多岐にわたる訓練を並行して行った。
同院DMATとして、松﨑正樹・小児科部長、年神章弘看護師、柏崎弘太看護師、山口尊朝・医事課副主任の4人が参加。松﨑部長は「地域の防災関係者に当院のDMAT隊を知っていただき、訓練を通じて今後、スムーズな連携が取れるようにしていきたい」と狙いを語る。
発災の合図後ほどなくして、会場の一角に設けた現場救護所に続々と傷病者が担架で担ぎ込まれ、あるいは自力歩行で集まりだした。救急指揮所との連携の下、ここで消防隊が1次トリアージを行い、DMATは重症と判断された傷病者の2次トリアージを行うなど、隣接する治療エリア(エアーテント)で応急処置を実施した。
重症者への対応では、より高度な設備の整った医療機関への搬送が必要な場合がある。現場救護所・治療エリアから、後方医療機関への搬送を担う役割として、大久保陽太・救急救命士と杉原大樹・救急救命士が病院救急車を用いた傷病者搬送で参加した。同院の看護師が現場救護所・治療エリアの準備や医師の補助など運用支援も行った。傷病者役で参加した職員もいた。
来賓として出席した同院の髙橋暁行院長は「当院は地域災害拠点病院の指定を受けています。平時に訓練を行っていなければ、いざという時にスムーズな動きは難しいです。しっかりと対応できるよう真剣に訓練に取り組むことが大切です」と強調。
また、松本裕史総長は「災害時には自分や家族が無事であれば、病院に来てくださいと職員に言っています。また、もし病院までたどり着けないようなら、近くの医療機関の支援を行うよう伝えています。広域災害の発生時には、どこでも人手不足に陥りますので、そのような支援のあり方や支援の輪が広がれば良いと思います」と語った。
羽生市総合防災訓練とは別に同院内でも、現場救護所から搬送された傷病者を受け入れたという設定で訓練を実施。県内のグループ病院である皆野病院からもDMATが訓練に参加した。