徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2024年(令和6年)03月04日 月曜日 徳洲新聞 NO.1430 2面

病気のはなし144
春先にも起こり得る
低体温症

脳や内臓など身体の内部の温度(深部体温)が35℃以下の状態を低体温と言い、放置すると生命に危険が及ぶ。原因はさまざまで、敗血症や甲状腺機能の低下、副腎不全、低栄養、薬物中毒など内的要因だけでなく、長時間低気温にさらされるなど外的要因でも起こり得る。厚生労働省によると2021年の「自然の過度の低温への曝露」による死者数は1,245人に上っている。

「低体温症は冬山の遭難など、特殊な状況下だけで起こるわけではありません。外気温20~25℃の少し肌寒い程度の時期、路上での居眠りなどでも十分に起こり得ます」と注意喚起するのは、日高徳洲会病院(北海道)の今井雅浩・内科医長だ。お花見などで泥酔した帰り、路上に座り込んだまま居眠りしてしまうなどという、ありがちな状況で、本人も周囲も事態の深刻さを理解しないまま、深部体温が低下していくケースもある。「とくに酔うと汗をかきやすく、気化熱でさらに体温を奪うきっかけになります」と今井医長。

低体温症の症状は震えから始まり、悪化するにつれ頻呼吸、頻脈、口語障害、判断力や意識の低下などが出現、やがて意識消失し、不整脈からの心停止に至る。「深部体温が32℃以下になると、不可逆的に予後が悪くなります。状況は変わっていないのに、身体の震えが収まってきたら緊急事態。その前に身体を温めてください」と今井医長は訴えている。

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