徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest
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2024年(令和6年)02月26日 月曜日 徳洲新聞 NO.1429 4面
今回は脂質異常症がテーマです。生活習慣病の代表的な疾患のひとつで、動脈硬化の危険因子と言われています。放置すると、心筋梗塞や脳梗塞などを引き起こしかねません。とくに初期段階では自覚症状がないだけに、定期的な検査でチェックすることが重要です。脂質異常症と、その検査のポイントについて岸和田徳洲会病院(大阪府)の田代健一朗・臨床検査科主任(臨床検査技師)が解説します。
田代健一朗・岸和田徳洲会病院(大阪府)臨床検査科主任
脂質異常症は、コレステロールや中性脂肪など血液中の脂質が異常に増えて血液がどろどろになった状態を言います。“動脈硬化の前段階状態”とも呼ばれ、放っておくと血管壁に余分な脂が次第に付着して血管が詰まりやすくなり、心筋梗塞や狭心症、脳梗塞などにつながりかねない怖い病気です。
脂質異常症には、中性脂肪値(TG)だけが高い「高中性脂肪血症」、LDL(悪玉)コレステロール値だけが高い「高コレステロール血症」、HDL(善玉)コレステロール値だけが低い「低HDLコレステロール血症」といったタイプがあります。かつて、脂質異常症は「高脂血症」と呼ばれていましたが、このように基準値より低い数値でもあてはまるケースがあることなどから、現在の名称に変わりました。
また、最近、“超悪玉コレステロール”という言葉を耳にしますが、これは小型のLDLコレステロールです。形が小さいだけに血管壁に入り込みやすく、動脈硬化の直接的な原因になりやすい性質があります。
脂質異常症の代表的な危険因子としては、①男性または閉経後の女性、②脂質異常症、脳梗塞、心筋梗塞にかかったご家族がいて、同じような生活環境にある方、③高脂肪食、アルコール、菓子など高エネルギー食品を多く摂取される方、④運動不足の方、⑤肥満、内臓脂肪が蓄積している方――などが挙げられます。
脂質異常症かどうかを調べる方法は血液検査です。LDL、TG、HDL、T-cho(総コレステロール)の数値になり、表を参考にしてください。このうち「境界域高LDLコレステロール血症」とは、高血圧や糖尿病など脂質異常症以外で動脈硬化を引き起こす病気の有無で、治療の必要性が判断される状態を意味します。
検査のポイントは、中性脂肪が食事の影響を強く受けるため、検査前日はアルコールを控え、食事は夜8時までにすませると良いでしょう。当日も検査が終わるまでは、食事を控えたほうが良いことは言うまでもありません。
脂質異常症は、とくに初期は自覚症状がありません。そのため定期的な検査をおすすめします。