徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest
Tokushukai medical group newspaper digest
2024年(令和6年)02月26日 月曜日 徳洲新聞 NO.1429 1面
「健康のためにワクチンで予防を」と八重樫部長
千葉西総合病院の八重樫牧人・総合内科部長が筆頭著者として執筆した原著論文が、 The Edward Jenner Societyと日本ワクチン学会の機関誌『Vaccine』に掲載された。タイトルは「日本の臨床現場における弱毒化岡株帯状疱疹ワクチン接種後の帯状疱疹および帯状疱疹後神経痛の発生率を評価した後方視的コホート研究」。
帯状疱疹(HZ)は3人に1人が生涯に1回以上発症する病気であり、うち10~18%は数年から数十年もしくは生涯痛みが続く帯状疱疹後神経痛(PHN)となる。HZ予防目的では、50歳以上を対象にした生ワクチンVVL(ビケン)が2016年から接種可能(1回約7,000円)で、遺伝子組換え型ワクチン(シングリックス)も20年から接種可能(同約2万円で2回接種)となった。
これまでVVL接種後の抗体価および細胞性免疫反応の上昇は証明されているが、HZおよびPHNの発症を減少させることを示した臨床研究はない。そこで同研究では、HZ予防でVVLを単回接種した50歳以上(1,175人)におけるHZおよびPHNの発症率を調査。結果、VVLのHZ予防効果は限定的だったが(27.8%と推定、有意差なし)、PHN予防効果は比較的良好となった(73.8%と推定、有意差あり)。
八重樫部長は「長く痛みが続くPHNのみ予防できれば良いのであれば、VVLは安価な代替薬としての役割を果たす可能性があります。このように多くの方々の選択に関与する科学的データを徳洲会から示せたことは、貴重なことだと考えます」と強調する。