徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest
Tokushukai medical group newspaper digest
2024年(令和6年)02月26日 月曜日 徳洲新聞 NO.1429 1面
湘南鎌倉総合病院(神奈川県)は欧州品質研究協会(European Society for Quality Research=ESQR)のQuality Achievements Awards 2023を受賞した。ESQRはスイスに本部を置く団体で、分野を問わず、高品質のサービス・商品を提供していたり、品質改善の優れた取り組みを継続的に実施したりしている組織への表彰を通じ、品質向上・改善の文化を促進。ドバイで行われた受賞式に小林修三院長が出席し、記念の賞状や盾を受け取った。小林院長は「職員一同で取った賞です。これからも患者さんのため、質の高い医療の提供に努めていきたい」と語った。
受賞式で賞状を受け取る小林院長(右) 多数の国々から会場のドバイに受賞者が集結
Quality Achievements Awardsの選考過程の詳細は公開されていないが、エントリー制ではなく他薦によって受賞候補に選ばれ、さまざまなデータを収集・分析するなど綿密な選考を行っている。受賞対象は医療機関、教育機関、製造業などジャンルを問わず、世界中の民間組織や行政、個人と幅広い。
小林院長は「受賞の知らせを受け取った時は、大変驚きましたが、とても名誉なことで、心から喜んでいます。約1,800人の当院職員を代表し受賞式に参加しました。今回は41カ国から51組織が受賞し、日本からは当院のほか九州大学病院、倉敷中央病院、製造企業、製薬ベンチャーの計5組織が表彰されました。多くの国から出席者が招待されており、じつに国際色豊かでした」と振り返る。
小林院長によると、これまでの受賞病院は3施設(済生会熊本病院、聖路加国際病院、藤田医科大学病院)だけであり、4番目の受賞(同時に3施設)となった。他業種では国内では過去に全日本空輸やサントリー、ヤマト運輸などが受賞しているという。
受賞式では各施設の代表者が5分間スピーチ。小林院長ははじめに喜びの声を上げ、「医療界では品質改善に取り組むことは患者さんのためになり、命を預かる病院にとっては重要なことです。当院は1988年の開院以来、35年にわたって質の向上を目指してきました。これからも職員一同、さらなる品質改善に努めることを約束します」と宣言した。
また、多くの出席者が注目するなか、徳洲会グループについて紹介。「徳洲会グループは全国に75病院(現在76病院)を擁し、“生命だけは平等だ”の理念を掲げ、『救急を断らない』、『24時間365日オープン』など実践しています。徳洲会は徳田虎雄・名誉理事長が50年前に創業しました。当院は669床を有する徳洲会の基幹病院です」と締めくくった。
式後のパーティでは、スロベニアの発達障がい児の教育施設代表者や、ブラジルで独自の重機開発を行う企業代表者など、多くの出席者と交流した。
主催側の挨拶のなかで、小林院長は3つのCの重要性が強調されていた点を指摘。Continuous(継続)、Connection(つながり)、Communication(意思疎通)だ。質の向上の意義を組織全員で共有し、組織文化として定着させ、さらにそれを発信する広報活動など一連の取り組みを継続することが肝要だという。
小林院長は米国の統計学者であるエドワーズ・デミング博士に言及し、「デミング博士は、“クオリティ(質)”は“作業努力の結果”を“コスト”で割ったものであるという式を提唱しました。この式を読み替えれば、質の向上を図れば結果としてコストは相対的に下がると考えることができます。コスト削減にばかりとらわれ、質の維持・向上をないがしろにすると、医療安全の低下など招き、かえってコストの増大につながるのです」と、質向上の意義をあらためて強調している。