徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2024年(令和6年)02月19日 月曜日 徳洲新聞 NO.1428 4面

小島・札幌東病院技師長
国際学術誌に論文掲載
より正確な放射線照射を期待

「研究の成果が臨床で役立つことを期待します」と小島技師長

札幌東徳洲会病院の小島秀樹・放射線治療部技師長(診療放射線技師)が執筆した論文が医学物理の国際学術誌『Medical Physics』2023年11月号と同誌オンライン版に掲載された。タイトルは「Point-by-point ion-recombination correction for accurate dose profile measurement in high dose-per-pulse irradiation field」(高線量パルス照射場における正確な線量プロファイル測定のためのポイントバイポイントイオン再結合補正法)。

高精度放射線治療装置TrueBeamには、「FFF ビーム」と称し通常時よりも高出力で放射線を照射する機能が備わっている。高出力のぶん照射時間が短くなり、肺がんや乳がん治療での息止め照射(呼吸で腫瘍の位置が変動しないよう患者さんに息を止めてもらい、その間に照射する方法)、なかでも呼吸器機能が低下し、安定した息止めが困難な高齢患者さんなどに用いる。

ただし、高出力の場合、照射部分の分子の電子と陽イオン(放射線の電離作用)が再結合(イオン再結合)しやすく、これが事前に計算した線量との乖離の要因となる。より正確な治療を行うには、乖離を見越した線量計算の補正が求められる。

小島技師長は、こうしたFFF ビームによって生じる線量測定の乖離と補正方法について研究。人間の体のほとんどが水でできていることから、線量を計測する電離箱線量計を水中に入れ、さまざまな方向に動かしたり、電離箱線量計の種類を変えたりして検証した結果、がんの深さが影響することが判明。論文では、等しく補正できる係数を作成するなど、より正確な線量計算を行うための新たな方法を提案している。

小島技師長は「大学教授と16年頃から研究活動を行ってきました。乖離の原因を明らかにし、補正の方法を示すことができたので、良かったと思います。正確で、より安全な治療につながることを期待します」と笑顔。

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