徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest
Tokushukai medical group newspaper digest
2024年(令和6年)02月19日 月曜日 徳洲新聞 NO.1428 4面
羽生総合病院(埼玉県)は外国人患者受入れ医療機関認証制度(JMIP)の認証を取得した。外国人患者さんが安心して円滑に医療サービスを受けられる体制を整備した医療機関を評価する第三者認証制度で、書面調査と訪問調査で審査される。審査に合格するには、多言語対応の体制整備や院内表示、患者さんの宗教や文化の違いを考慮した対応など条件を満たす必要がある。徳洲会グループのJMIP認証病院は計13施設。
「外国人患者さんが安心して受診できるようサポートしていきます」と藤間・課長補佐
埼玉県内のJMIP認証病院は同院を含めて3施設にとどまる。羽生病院は2022年4月に国際医療支援室を開設し、外国人患者さんの受け入れ体制の整備を本格的に開始した。同室の開設に加えて院内に外国人対応委員会を新たに設置。各部署からひとりずつ委員として参加するなど病院を挙げ推進してきた。
日本語と英語の併記で院内をわかりやすく案内
同委員会の副委員長を務める藤間弘晃・国際医療支援室課長補佐兼健康管理センター課長補佐は「羽生市の周辺には工業団地が多く、そうした職場に勤務している在留外国人の方々を中心に従来から健診や治療の受け入れを行ってきました」と説明。
続けて「ただ、ほとんどの場合、職場の方やご家族、知人などで通訳できる方と一緒に来院することが多く、病院として外国人患者さんの受け入れに関して特別な対応を取ってきませんでした。一方で、徳洲会グループのなかにはJMIPを取得している病院が10施設以上ありますので、それを見習い、今回、一歩踏み出した対応が取れるようJMIP認証を取得しました」と経緯を話す。
国別ではネパールやベトナム、ブラジル、バングラデシュ、中国、パキスタン、ミャンマー、フィリピンといった国籍の患者さんが多い。1年半前のデータになるが、22年9月から11月の3カ月間だけでも延べ795人が受診、現在はこれを超えるペースで来院している。
取り組みを開始した1年目は院内の体制整備に注力した。外国人対応委員会の委員長を務めた池田真副院長(23年12月当時)は英語とポルトガル語に対応可能で、ほかにも韓国語、タガログ語を通訳できる職員がいる。さらに多言語対応を進めるため、電話やテレビ電話などによる遠隔医療通訳サービス「メディフォン」を導入。新型コロナで入院した外国人患者さんとの意思疎通のため、同時通訳機ポケトークはすでに導入済みだ。
「英語、中国語は24時間対応で、事前に連絡しておけば希少言語を含め、さまざまな言語に対応できます。外国人患者さんが『ひとりで行っても安心して受診できるよ』と他の方にも薦めていただけるような病院を目指します」と藤間・課長補佐はアピールする。
院内に入ったら患者さんの目的地と行き方がわかるよう、案内板をすべて日本語と英語を併記したものへと交換したり、患者さん向けの説明書類も英語版を作成したりした。
藤間・課長補佐をサポートする中瀬裕一・健康管理センター副室長は「企業健診やバス健診でも外国人受診者さんは増加傾向にあります。企業さんの側でも通訳できる方がいることも多いですが、健診がある日にはポケトークを持参するなど準備しています」と現場の様子を明かす。今後はメディカルツーリズム(医療観光)への対応なども検討していく考えだ。