徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2024年(令和6年)02月12日 月曜日 徳洲新聞 NO.1427 4面

おくすりレクチャー
公定価格で薬も平等に
薬価の役割

出雲貴文 千葉西総合病院 薬剤部長

公的医療保険が適用される医薬品の価格は、医療機関や調剤薬局が勝手に決めることはできません。どこで、どのような医療を受けても、同じ薬は同じ値段と決められています。患者さんが平等に医療を受けることができるように、“公定価格”として国が定めているためです。これが“薬価”です。

たとえば薬価が100円の薬があるとします。医療機関は医薬品卸と仕入れ交渉を行い、100円よりも安い値段で仕入れます。「差額でもうけているのでは」という議論がひとり歩きしがちですが、医療機関も施設の修繕をしたり医療機器を買ったりするために利益が必要で、企業努力が求められるのです。

一方、増加する医療費を抑制するため、国は2年に一度(2021年度以降は実質毎年)薬価改定を行い、仕入れ価格に近付けるよう薬価の変更を行っています。これが改定のたびに薬価が下がる仕組みです。

しかし、これが繰り返されると製薬メーカーの利益も下がり、頑張って画期的な薬をつくっても利益が出ないのであれば、新薬の開発意欲を削ぐことにつながってしまいます。そのため、革新的新薬の創出を促すよう、一定の条件を満たした薬は、新薬創出加算が適用され、薬価が下がりにくくなる制度もあります。また、不採算だけれども必要な薬は、供給不足が起こらないよう薬価改定の際に調整を行っています。

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