徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest
Tokushukai medical group newspaper digest
2024年(令和6年)02月05日 月曜日 徳洲新聞 NO.1426 4面
湘南鎌倉総合病院(神奈川県)では、多職種が学会発表や論文投稿に積極的だ。このうち最優秀演題賞などを受賞した3人を紹介する。
則竹室長はタイと日本の国際医療連携について発表 「病院全体の取り組みが評価されたのがうれしい」と根本室長 森浦看護師は胸肋挙上術後の疼痛に関し発表
則竹淳・国際医療戦略室長・予防医学センター事務局長は第8回日本がんサポーティブケア学会学術集会で「がん治療を中心としたタイ王国と日本の国際医療連携」と題し発表、最優秀演題賞に選ばれた。タイでは公立病院と私立病院で大きな医療格差があり、外国人が利用できるのは大都市の私立病院に集中しているが、自由診療のために治療費が高額になるなど課題がある。
発表ではISPACOS(患者にやさしいがん医療サイエンス)タイ支部を設立した経緯や日本本部とタイ支部の連携による医療支援活動、さらに、がん医療を中心としたタイの医療事情を紹介。則竹・室長兼事務局長は「日本とタイの医療の違いに興味をもっていただき、意見交換も積極的に行われたのが良かったです。タイでの経験を生かし、当院の国際医療連携および病気の予防の啓発活動を進めていきたい」と意欲的だ。
根本敬リハビリテーション科室長(理学療法士)は医療の質・安全学会の第9回上原鳴夫記念研究奨励賞若手奨励賞を受賞した。論文のテーマは「本邦におけるエイデット(AIDET)の序章~外来待ち時間に関するクレーム低減化をめざして~」。エイデットとは医療者が患者さんに対して実施する5つのフレームワーク(挨拶や説明、お礼など)の頭文字。
病院全体で約6年にわたり実践し、患者さんにアンケートを取った結果、外来待ち時間のストレスが緩和したことがわかった。根本室長は「査読の先生に『チャレンジングな取り組みですね』と言われたのが印象的で、病院全体でエイデットを実践しているケースはなく、新規性があるという評価でした。現在は、病院全体で待ち時間の低減化を目標に頑張っています」と課題を示す。
森浦志穂梨看護師は第22回Nuss法漏斗胸手術手技研究会で「小児病棟における胸肋挙上術後の疼痛に関する実態調査」と題し発表、特別賞に選出された。漏斗胸に対する標準術式であるNuss法は、金属バーを体内に数年留置するため一定期間の疼痛が生じる。一方、同院で行う胸肋挙上術は疼痛が少ないのが特徴。
そこで、2014~22年に同手術を受けた患児156人を分析、鎮痛薬の使用状況・日常生活動作(ADL)から、疼痛の遷延がないことを裏付けた。森浦看護師は「全国的に胸肋挙上術を行う病院は少ないですが、痛みが少なく、患児にとって良い術式なので、選択肢のひとつとなれば幸いです」とアピールしている。