徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest
Tokushukai medical group newspaper digest
2024年(令和6年)02月05日 月曜日 徳洲新聞 NO.1426 3面
「本来あるべき理想の追求を」と佐藤・特命教授
久留米大学の佐藤敏信・特命教授(医療政策担当)は「『医師の働き方』を含む最近の周辺環境の変化について」と題し講演した。はじめに、今後の医療を考えるうえでポイントとなる周辺環境を説明。①高齢化や人口減少による患者さんの減少、②医療の高度化・高額化に対する医療費抑制策の推進、③患者さんの権利擁護・拡大にともなう医療従事者の業務量増加――を挙げ、厳しい環境下で個々の医療機関は利益の最大化に努めなければならない点を指摘した。
一般企業の場合、利益の最大化を図るために価格と供給をコントロールするが、医療は価格も供給量も制限されているため、佐藤・特命教授は「患者さんを増やすしかない」点を強調。そのために、結果やプロセスといった外的要因だけでなく、もてなしなど内的要因も今後は一層重要になる可能性を示唆した。また、患者数に着目するだけでなく、それぞれの診療行為を医師の眼で見極めるといった工夫を施す必要性も説いた。
「医師の働き方改革」にも言及。ニーズが突然に発生する医療の特性から、一般企業のように計画的な勤務・休暇は容易ではないことを指摘し、DX(デジタルトランスフォーメーション)を進めて、カルテや会議内容の要約などに「とにかく手間をかけない」ことを対策に掲げた。最後に佐藤・特命教授は列席者に対して「制度の動きに一喜一憂せず、翻弄されることなく、本来あるべき理想を追求するしかありません」とエールを送った。