
徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest

Tokushukai medical group newspaper digest
2024年(令和6年)01月29日 月曜日 徳洲新聞 NO.1425 1面
徳洲会放射線診断医師部会は第1回全国部会を開催した。現地参加とオンライン参加合わせて計28人の放射線科医師らが参加。患者さんのため放射線診断のさらなる発展を目指す。部会では活動内容や画像診断支援AI(人工知能)、北海道内のグループ病院遠隔読影、読影支援に関するアンケート結果、症例検討など多岐にわたるテーマの発表や報告を行い、情報共有に努めた。
患者さんのためグループの放射線診断の発展に尽力(右から4人目が部会長の藤田総長)
部会への期待を口にする東上理事長(右)

放射線診断医師部会は昨年6月末に診療部門では19番目の部会として発足。徳洲会グループに所属する主に放射線診断医師で構成し、読影環境の整備や読影の効率化、品質向上、安全対策、情報共有、教育など各種活動を通じ、患者さんへの貢献を目指すことが目的だ。
第1回全国部会では、冒頭、一般社団法人徳洲会の東上震一理事長が「各病院で読影している画像は膨大な数に上っています。信頼できる画像診断支援AIなど技術をもち込んだり、マンパワーが手薄な離島・へき地病院へのサポート体制を整備したりするなど、先生方で力を合わせて活動を推進してください。将来的にはグループ病院が導入する放射線診断機器の選定に対するアドバイスなども期待しています」と呼びかけた。
部会長である鹿児島徳洲会病院の藤田安彦総長(医療法人徳洲会常務理事)は「現場で苦労している先生方の手助けになれるよう協力し尽力していきたいと思います」と挨拶。この後、副部会長を務める札幌徳洲会病院の片田竜司・放射線科部長と大隅鹿屋病院(鹿児島県)の小林秀章・放射線科医長、部会長補佐である湘南鎌倉総合病院(神奈川県)先端医療センターの寺田茂彦センター長補佐が挨拶を行った。
参加者の自己紹介後、藤田総長が部会の活動内容などについて発表。部会執行部や部会メンバー(76人)、部会の目的をあらためて紹介し、当面の活動予定として①症例検討会(年1回)、②画像診断AIなどの情報共有、利用推進、③読影センターの設立、④外部読影企業の集約化――を挙げた。加えて、画像診断管理加算の取得状況や読影の院内・外部委託状況を紹介。
終わりに藤田総長は前任地の徳之島徳洲会病院(鹿児島県・院長として勤務)時代から注力している学術活動に言及し、このほど、世界最大規模の学術出版社であるエルゼビアから、投稿・掲載された英語論文により、表彰を受けたことを報告。2020年から22年にかけて5本の論文がエルゼビアの医学ジャーナルに掲載され、そのうち2本がSDGs(持続可能な開発目標)推進に合致する内容として表彰された。「日頃行っていることを、客観的に業績として記録に残し、後世に伝えるために、英語論文で世界に向けて発信しています」と、その重要性を強調した。
続いて、小林医長が画像診断支援AIの現状を報告。23年11月時点で11病院が使用しており、小林医長はシステムの概要やメーカーごとの感度・特異度などを説明した。
片田部長は北海道グループ病院遠隔読影の現状について発表。札幌病院は放射線科常勤医が不在の病院を中心に、4病院の遠隔読影を行っている。遠隔読影システムの概要や工夫について解説した。この後、部会で行ったアンケート結果の紹介があり、放射線診断専門医資格の有無や、時間外の読影依頼への協力の可否、マンパワーの充足状況など回答結果を明らかにした。
最後に症例検討を実施。寺田センター長補佐が「PET-CTにより棘突起間滑液包炎が指摘され、大血管炎が疑われた1例」、藤田総長が「超高齢者の急性腹症の1例」をテーマに発表した。