徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest
Tokushukai medical group newspaper digest
2024年(令和6年)01月22日 月曜日 徳洲新聞 NO.1424 3面
湘南鎌倉総合病院(神奈川県)のDMAT(国の災害派遣医療チーム)がホストとなり、院内で「令和5年度関東ブロックDMAT訓練」を開催した。震度7の地震の後、富士山が噴火したことを想定して実施。同日に院内の災害対策本部訓練も行い、互いに連携し合い進行した。
関東ブロックDMATの5チームが集まり合同訓練 院内の災害対策本部訓練の様子
DMAT訓練は湘南鎌倉病院チームなど5チームが参集し、2日にわたり行った。1日目は震度7の地震が発生し、同院のDMATが災害拠点本部を立ち上げるところからスタート。残り4チームが集まり、「統括DMAT」の資格をもつ隊員に本部の運営を引き継いだ後、地域の医療機関に対し、各チームが協力して物資調達、搬送調整、活動指揮、情報収集を行った。
1日目の終わりに振り返りを行った後、富士山噴火による降灰被害に関し勉強会を開いた。この内容をもとに、2日目には富士山噴火を想定し訓練を実施。降灰により交通網が断絶、電波やライフラインも途絶え、屋上にある自家発電機も機能しなくなった状況で、孤立する医療機関で起き得ること、DMATが対応できることなどを話し合った。
一方、院内の災害対策本部訓練は、DMAT訓練の前日からスタート。初日は発災後に各部署が被災状況を確認し、院内の災害対策本部に報告するところまで実施し、さらに全職員向けに安否確認と登院可否を問うアンケートも行った。
DMAT訓練の1日目に合わせた訓練では、各部署から参加した職員が災害対応マニュアルやアクションカード、前日に収集したアンケート結果をもとに、多数傷病者対応、ライフライン維持、人員調整、広域災害救急医療情報システム(EMIS)入力など実施。DMAT訓練で地域の医療機関の状況を把握する際、同院が入力したEMISを確認したり、実際に院内の災害対策本部訓練会場に足を運んで情報収集したりした。
DMAT訓練に参加した仁平敬士・救急総合診療科医長は「富士山噴火を想定した訓練は初めてでしたが、想像以上に何もできないことを痛感しました。知識を増やし、一つひとつ備えていかなければなりません。また、他チームとの合同訓練では、いつも以上に丁寧なコミュニケーションが求められ、勉強になりました」と振り返った。
主に院内の災害対策本部訓練を指揮した山本真嗣・救急総合診療科部長は、「降灰被害により完全に孤立状態になると、徳洲会グループのスケールメリットも生かせなくなる可能性があり、病院単位でどこまで備えるべきか考える必要があります」と強調。さらに「まずはマニュアルやアクションカードの見直し、職員への理解促進を進めます」と俯瞰していた。