
徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest

Tokushukai medical group newspaper digest
2023年(令和5年)12月18日 月曜日 徳洲新聞 NO.1420 1面
(右から)水上部門長、石井研究員、小野部門長
札幌東徳洲会病院医学研究所は科研費(科学研究費助成事業)や民間の研究助成金など競争的資金の交付対象に相次いで採択、同院の研究活動に対する社会的評価が年々高まっている。
同院は今年度の科研費を獲得、最近ではテルモ生命科学振興財団の2023年度Ⅲ研究助成、黒住医学研究振興財団の第31回研究助成、興和生命科学振興財団の研究助成、寿原記念財団の第38回研究助成、2023年度ノーステック財団研究開発助成事業補助金、バイエル薬品アカデミックサポート、大鵬薬品工業奨励寄附金を相次いで得た。
黒住、テルモ、寿原記念の各財団に採択されたのは同院の小野裕介・医学研究所ゲノム診断研究部部門長の研究。血液や消化液から膵がんに関連する遺伝子変異を検出し、膵がんの前駆病変であるIPMN(膵管内乳頭粘液性腫瘍)で、とくに見られる遺伝子発現変化を捉えることによって、高リスク群を早期にあぶり出すリキッドバイオプシー(液体生検)の確立を目指す。
「競争的資金での採択は、その研究が評価されたということであり、とても励みになります。助成金は研究に用いる試薬の購入などに活用します」(小野部門長)。
ノーステック、興和、バイエルは、同院の石井貴大・医学研究所がん生物研究部研究員(消化器内科部長)。大腸がんのリスク因子となる潰瘍性大腸炎の長期罹患例を対象とし、石井研究員は「生検組織像を再評価し、遺伝子解析/免疫染色によりTP53遺伝子異常(大腸がんの発生に関与する遺伝子変異)の有無やパターンとの関連性を調べ、より早期のがん発見に有効な指標が得られるか検討したい」と抱負を語る。
また、同院の齋藤博哉・医学研究所がん生物研究部副部門長が「膵画像認証と膵液・十二指腸液中の遺伝子変異との関連」という研究テーマで、大鵬薬品工業から奨励寄附金を受けた。
さらに、同研究所の活動が注目され、第82回日本癌学会学術総会では水上裕輔がん生物研究部部門長(旭川医科大学内科学講座消化器内科分野・教授)がランチョンセミナーで講演。「ラボ(研究施設)発足後の約10年間の経験をふまえ、少ない検体から、より多くの情報を引き出す解析技術など発表しました」(水上部門長)とアピール。