徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2023年(令和5年)10月10日 火曜日 徳洲新聞 NO.1410 1面

榛原病院
地域包括ケア病棟を開設
多様な入院ニーズに対応

榛原総合病院(静岡県)は地域包括ケア病棟(40床)を開設した。同院は急性期病棟、回復期リハビリテーション病棟、療養病棟を有するケアミックス病院で、新たに地域包括ケア病棟を加え、さらなる多機能化が実現、より幅広いニーズに対応していく。同病棟開設は7月(地域包括ケア病棟入院料の算定開始は8月)。

「患者さんとともに」と地域包括ケア病棟のスタッフ一同

「こんにちは。○○さん。体調はいかがですか」――。

池谷純奈看護師はベッドに横になる患者さんに優しく話しかけた。ここは、榛原病院の西5病棟の一室。地域包括ケア病棟を開設したフロアだ。

患者さんは80代の男性。脊椎症(背骨の変形などによりしびれや痛みを発症する疾患)や低血圧のため、これまで訪問看護などを利用しながら奥さんが介護者となり、ふたりで在宅療養を続けてきた。

だが、デイサービス(通所介護)などを利用しておらず、徐々に奥さんの疲弊の色が濃くなってきた。医療対応の面で老健(介護老人保健施設)などのショートステイ(短期入所生活介護)の利用が難しく、在宅療養の継続が一時的に困難となったことから入院に至った。池谷看護師は患者さんに話しかけながら体位変換を行い、背中を優しくさすった。

「患者さんが不快になったり不安になったりしないように、名前を呼んで、『これから○○しますよ』などと声をかけ、説明してからケアを行うように心がけています」と、池谷看護師は気配りの大切さを強調する。

優しく声をかけながら看護を実践

一方、スタッフステーションの真横にあるデイルームでは、車いすに乗ったふたりの患者さんが、手先の訓練にもなる折り紙に取り組んでいた。傍らには看護師と理学療法士が同席し、患者さんとコミュニケーションを取りながら様子を見守った。

このうち女性患者さんのほうは、大腿骨頸部骨折で入院し、急性期治療を終えて自宅退院となったが、介護者である夫の介護負担が大きくショートステイを利用するも期限が迫ってきたことから地域包括ケア病棟に入院となった。ADL(日常生活動作)に加え認知機能の低下も見られることから、退院後は認知症対応のグループホームへの入所を検討しており、退院と入所に向けて調整中だという。

望月雄貴・理学療法士は「個別リハや集団リハ(集団体操など)の実施を通じて患者さんのADL(日常生活動作)向上に貢献していきたい」と意気込みを見せる。

日中デイルームで過ごす患者さんを見守る

地域包括ケア病棟担当の田村人美・看護師長は「当院が立地する場所は老老介護や独居高齢者が多い地域です。そうした方々は何らかの傷病を負って入院し、急性期治療を終えた後も、すんなりと在宅復帰するのが難しいケースが多く見られます。さまざまな目的で入院できる地域包括ケア病棟として、地域にとっても、病院にとっても、必要な時に活用していただける使い勝手の良い病棟でありたいと思っています」とアピール。

運営開始後、透析患者さんが同病棟に入院するケースが増えている。患者支援センターの杉田直祥センター長(社会福祉士)は「ショートステイやロングショートステイを提供している介護施設などには透析装置がなく、地域にレスパイトを目的とした透析患者さんの受け入れ先がないことが背景にあります」と説明する。

続けて「当院はこれまでにも一般病棟で透析患者さんの入院を受け入れてきました。地域包括ケア病棟では最長60日まで入院できますので、在宅復帰や施設入所の調整に時間がかかるような、さまざまなケースを含め柔軟に対応でき、自由度の高い病棟運営が可能です。患者さんの心身の状態に加え、家庭状況もさまざまであり、調整が難航するケースもありますが、とてもやりがいを感じています。患者さんや家族との信頼関係を大切にしながら、これからもサポートしていきたい」と意欲を見せる。

同院は回復期リハビリテーション病棟も有するが、同病棟の入院適応とならない踵や上腕の骨折を治療後、入院リハビリが必要な場合などにも地域包括ケア病棟は対応できる。同病棟では毎朝、医師、看護師、リハビリスタッフ、MSW(医療ソーシャルワーカー)、介護士など多職種がカンファレンスを行っている。患者さんの状態や診療方針、退院の見とおしなどについて情報を共有するためだ。

また、毎週月曜と木曜に地域包括ケア病棟判定会議を実施。多職種参加の下、一般病棟に入院中の患者さんのなかから、地域包括ケア病棟への移行候補となる患者さんを選定し、移行の適否について検討している。急性期の患者さんが入院する一般病棟は、つねに新たに入院してくる患者さんを受け入れなければならないため長期入院はできない。

そこで、地域包括ケア病棟が、急性期を脱した患者さんの受け皿となることで、救急・急性期のスムーズな入院医療の実践にも貢献している。

八木千乃・看護部長は「地域包括ケア病棟は、一般病棟よりも、さらにご高齢の患者さんが入院する機会が多いため、退院に向けての支援と調整がとても重要になります」と指摘する。同院は地域の医療機関などとの看看連携にも力を入れており、定期的に勉強会を開催。勉強会には地域の介護事業所の職員なども多く招いており、こうした取り組みを通じて築いてきたネットワークも調整業務に生かされている。

地域包括ケア病棟(床)とは

多職種連携により、急性期治療後の患者さんや、在宅患者さんの急変時の受け入れ、レスパイト(患者さんを介護する家族を支援するための短期入院)、リハビリテーションの実施による在宅復帰支援など幅広い役割をもつ病棟(床)。できる限り住み慣れた地域での生活を支える“地域包括ケアシステム”の一角を担う。

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