徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2023年(令和5年)09月19日 火曜日 徳洲新聞 NO.1407 4面

湘南藤沢病院
機能的神経疾患センター好調
開設1年──多様な治療で全国的に貢献

湘南藤沢徳洲会病院(神奈川県)の機能的神経疾患センターが開設から1年経過、好調に推移している。MRガイド下集束超音波治療(MRgFUS)、高周波脳凝固術(RF)、脳深部刺激療法(DBS)というグループ唯一の3治療法を実施。これらすべてを行う施設は全国でも珍しい。同院では、この1年で3治療法を計55件実施。外来患者数が大幅に増加したため、手術待機が長引くという課題を抱えるも、次の1年に向け動き出している。

「全国の困っている方々に受診していただきたい」と山本センター長

同センターの対象疾患である「機能的神経疾患」とは、脳や脊髄などの神経で情報のやり取りがうまくできなくなり生じる病気で、パーキンソン病、本態性振戦、ジストニア(不随意運動の一種)、痙縮、神経に起因する慢性疼痛などを言う。これらに手術を行うのが「機能神経外科」で、治療では神経回路の異常を遮断し症状を改善させる。

MRgFUSは超音波を一点に集中し、脳の患部を熱凝固する“メスを使わない手術”。外科的侵襲がほとんどないのがメリットだが、現状では生涯で1回しか保険適用されない。

MRgFUSでは治療中に治療効果や有害事象の有無をチェック

RFは脳に細い電極を入れ、患部を熱凝固する治療法、DBSは脳に電極を埋め込み、持続的に電気刺激を行う治療法で、これらは頭蓋骨に小さな穴を開けて行う侵襲的な手術だが、脳の患部を直接焼灼、または電気刺激を与えるため治療効果が出やすい。また、保険適用の回数に制限はない。

MRgFUSは2017年に導入したが、同センター開設前に半年ほど休止、昨年8月に再開し1年で28件実施した。RFは昨年11月に1例目を行い、これまで23件、DBSは今年1月に1例目を行い4件実施。

山本一徹センター長は「手術件数は社会への貢献度を反映しています。私の働いていたトロントウェスタンホスピタル(カナダ)では、年間300件ほど手術を行っていたので、まだ決して十分な件数とは言えません。手術待機の患者さんが増えているので、今後はより多くの手術ができるように調整しています」と明かす。

DBS治療の様子

手術待機が増えている要因は、外来患者数の増加に加え、ほとんどの患者さんが手術を希望するためだ。同センターはInstag-ramで情報発信をしており、投稿を見て東北や九州など遠方から来院する患者さんもいる。

また、同センターの患者さんは、薬やリハビリテーションでは効果が現れず、他の医療機関では治療法がないことから紹介されるケースが多い。そのため最後の望みをかけて、手術を希望するという。

1日に行える手術件数を増やすために、RFやDBSで用いる「アークシステム」を追加導入することを検討している。同機器は1回使うと洗浄・滅菌に長時間かかり、1日に使用できる回数に限界があるためだ。

山本センター長は「市中病院は患者さんがアクセスしやすいのがメリットと言えます。おかげで多くの患者さんに受診していただいていますが、手術待機が長引いてしまい、申し訳なく思っています。今後は1年に100件の手術を行うことを短期的な目標として準備を進めています」と意気込みを話す。

イップスにも奏功

音楽家ジストニアに対するRFの術中、ギターを弾いて効果を確認

同センターで扱う病気のひとつ、イップス(スポーツで特定の運動を行う際に見られる動作の異常)は、精神的な問題と思われがちだが、ジストニアの一種であり、脳の治療により改善が期待できる。音楽家ジストニア(手や指がこわばって、うまく演奏できない状態)も同様で、治療可能なことが十分に知られていない。音楽家ジストニアについては、5月にプロのギター奏者の患者さんにRFを行い奏功した(小紙1395号で既報)。

この1年でマラソンを趣味にしている患者さんのイップスを治療した。歩く時だけ右足のつま先が反り上がる症状に悩まされ、膝と股関節が突っ張り、走ることはおろか歩くこともままならずにいた。

歩行時以外はこれらの症状が出現しない、“動作特異性”が見られ、治療としてRFを行ったところ、術後、翌日から右足に体重を乗せられるようになり、1カ月後には通常歩行やジョギングが可能になった。

「イップスの多くは、特定の動作で症状が出現する“動作特異性ジストニア”であり、プロか否かを問わず、ランナーにもイップスが出現する場合があります。RFで劇的に良くなったので、患者さんは大変喜んでいらっしゃいました」と山本センター長。

次の1年に向けて「この1年で多職種によるチームも成熟してきました。治療成績も良く、患者さんにも自信をもって提案できます。今後もこの治療を知らない人がいなくなるくらい、周知活動に力を入れていきます」と意欲的だ。

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