
徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest

Tokushukai medical group newspaper digest
2023年(令和5年)09月04日 月曜日 徳洲新聞 NO.1405 2面

脳に向かう血管が何らかの原因で詰まる疾患を脳梗塞といい、なかでも脳深部の細い血管が詰まるものをラクナ梗塞という。細い血管ではあるものの、脳血流が途絶えると、その血管から栄養をもらっている脳細胞が死んでしまうため認知症や片まひなど日常生活に影響を及ぼす後遺症が残ることがあり、できる限り早い治療が望ましい。手足に力が入りにくい(しびれと表現する人も)、ふだんに比べ箸が持ちづらかったり字が書きづらかったりする、足が重たくもつれる――などの症状があれば、「すぐに救急車を呼んでください」と六地蔵総合病院(京都府)の安河内靖副院長(脳神経外科)は訴える。
治療は発症超早期(4.5時間以内)で条件が合えば、まずt-PA(経静脈的血栓溶解剤)療法を、難しければ脳保護薬などを使用する。治療開始が早ければ早いほど治療成績は良いが、症状に痛みをともなわないため、受診が遅れることもしばしば。「たまに夕診を待ちましたと発症から6、7時間経って来られる方がいらっしゃいますが、脳梗塞の治療は時間との勝負です」と安河内副院長。本人が気付かなくても話す時に口元がもつれる、片側だけ頰が歪むなど異変に家族が気付いたら、「ためらわず救急車を」と呼びかける。
リスク因子は飲酒、喫煙、高血圧、脂質異常症などに加えて脱水もあり、「基礎疾患がなくても起こり得ます」と安河内副院長は注意喚起する。