徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest
Tokushukai medical group newspaper digest
2023年(令和5年)08月14日 月曜日 徳洲新聞 NO.1402 3面
徳洲会消化器内科部会は6月17日、名古屋市内で第11回ENDO CLUB学術集会を開催した。同学術集会は消化器内視鏡に関する知識・技術の向上、グループ内の連携強化や情報共有を行うことが目的。過去最多の25演題に上る一般演題や、遠隔診療支援システムを用いたESD(内視鏡的粘膜下層剝離術)ライブ、特別講演と、多彩なプログラムを実施。消化器内科や外科、内科など各科医師や初期研修医、専攻医、看護師ら約70人が参加し熱心に聴講、研鑽を積んだ。
全国の徳洲会病院から約70人が参集
遠隔診療支援システムを用いてESDライブ
4年ぶりの開催となったことから、全体テーマは名古屋弁で「おひさしぶり」を意味する“やっとかめだなも!”とした。冒頭、今回の当番世話人である東京西徳洲会病院の高山悟副院長が「ENDO CLUBもやっと再開することができました。これから部会活動を活発に行い、診療レベルの向上などを図っていければと思います。今日はぜひ積極的な討議をお願いします」と挨拶。
また、会場には東上震一理事長が駆け付け、「グループの各施設が協力し合い、困っている仲間がいれば助けてほしいと思います。診療レベルの向上を図り、より良い医療の提供に努めてください」と呼びかけた。
症例発表では胆道閉塞や慢性膵炎、胃型十二指腸潰瘍、大腸粘液がん、結核性腹膜炎、潰瘍性大腸炎など、テーマは多岐にわたった。困難症例を中心に、経過や治療結果、それらをふまえた考察など、今後、同様の症例に遭遇した場合、とても参考になる発表が多く、熱心に聴講する参加者の姿が目立った。
胃ESDパス(標準診療計画)の運用結果や新たなデバイスの評価に加え、多施設共同研究への参加を呼びかける発表などもあり、グループのスケールメリットを生かした発表会となった。それぞれの発表後には活発に質疑応答も行った。
ESDライブは、名古屋徳洲会総合病院消化器内科の前田洋平医長が同院内視鏡室で施行する早期胃がんに対するESDの模様を中継。遠隔診療支援システムを利用した。同システムでは、ひとつの画面内に内視鏡画像や内視鏡室の様子、生体情報モニタなどを映した画面を分割表示できる。これを会場スクリーンに表示し参加者に供覧した。
会場にいる岸和田徳洲会病院(大阪府)の井上太郎副院長(同部会代表世話人)が同システムの画面を見ながら前田医長にアドバイスを送るなど、コミュニケーションを取りながら手術を進め、無事に終了した。
特別講演には、愛知県がんセンターの花井信広副院長を招聘。「頭頸部癌における光免疫療法」をテーマに講演を行った。光免疫療法(アルミノックス治療)は、がん細胞に選択的に結合する薬剤(光感受性物質)を投与し、レーザ光を照射することで、がん細胞の細胞膜を破壊し、がん細胞を死滅させる新しい治療法。現在、「切除不能な局所進行または局所再発の頭頸部がん」に対する保険診療が認められている。
部会長を務める岸和田病院の尾野亘院長は「若い先生の参加が増え、より活気のある部会になってきました。横のつながりを大切にしたいと考えていますので、今回、対面で顔を合わせ、時間を共有することができた意義は大きいです。これからも皆で切磋琢磨し、レベルアップを目指したい」と展望。次回の
ENDO CLUBは中部徳洲会病院(沖縄県)で開催予定だ。