徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2023年(令和5年)08月07日 月曜日 徳洲新聞 NO.1401 4面

日タイ合同国際循環器症例検討会
国境を越えて切磋琢磨
徳洲会グループが開催

徳洲会グループは7月3日、オンラインでタイのバムルンラード病院と「日タイ合同国際循環器症例検討会」を初めて開催した。同会は大橋壯樹・副理事長(名古屋徳洲会総合病院総長)が中心となり実施。日本から2人、タイから2人が症例を発表、ディスカッションも盛り上がりを見せた。

日タイ合同国際循環器症例検討会の名古屋病院会場

同会は、在タイ日本国大使館の医務官から、バムルンラード病院との交流の機会を得て実現。検討する症例のテーマが「循環器疾患」と決まり、海外への情報発信に精力的な大橋・副理事長が中心となり準備を進めた。

「今後も続けていきたい」と大橋・副理事長

大橋・副理事長は「タイでは、どのような環境で、どのような医療が行われているのか、同じアジアの国ながら、まったく知らなかったので、とても関心がありました。とくにバムルンラード病院はタイのなかでも先進的な病院なので、興味深かったです」と振り返る。

ダヴィンチ手術の症例を提示する山内医師

同会の開催について、名古屋病院の加藤千雄・院長兼循環器内科部長は「バムルンラード病院のクンラウィー・ネートマニー先生(循環器科・心臓疾患センター長)は、心房細動の新たな治療オプションを開発しました。さらに難病中の難病とされるブルガダ症候群に対する根治療法を発見したばかりでなく、それまで再分極と考えられていたその病態メカニズムにも一石を投じ、2011年に脱分極異常の可能性に言及して、世界的な循環器関連の雑誌『Circulation』に報告。12年経った現在も決着がついていません。それほど革新的なアイデアを世に示した先生と、時間を共有できることは望外の喜びです」と強調。

「受講者すべてにとって有益な時間になった」と加藤院長

名古屋病院の業績にも触れ、「当院では私が赴任して1,600例以上のカテーテルアブレーションを施術してきましたが、残念ながらブルガダ症候群の治療経験はありません。今日の症例検討会が、今後、私たちが経験すると思われるブルガダ症候群の治療に際し、役立つばかりでなく、心臓血管病に立ち向かう受講者すべてにとって有益な時間になると思います」と開催の意義をアピール。

森田医師は全大動脈置換術の症例などを提示

同会では、まず大橋・副理事長が座長を務め、名古屋病院の山内博貴・心臓血管外科医師が「ダヴィンチロボットによる三尖弁形成術の1例」、同院の森田英男・心臓血管外科医師が「慢性胸腹部大動脈解離に対するステントグラフト、開腹人工血管置換による全大動脈置換術」をテーマにそれぞれ症例提示した。

オンライン開催ながら活発に意見交換

続いて、バムルンラード病院のアチラウィン・ジラガモンチャイシリ循環器科・心臓疾患センター・オペレーション部門センター長が座長を務め、ネートマニー・センター長が「電気生理学(EP)と遺伝学・EPアブレーション技術による遺伝性不整脈(ブルガダ症候群など)の治療」、「心房細動に対するアブレーション・心房細動に関する最新知識と技術の検討」、マナサウィー・ヴァサラ循環器科・心臓疾患センター医師が「心不全と移植~遺伝性疾患で心移植を受けた少女の症例検討~」をテーマにそれぞれ症例を示した。

バムルンラード病院にはダヴィンチがないため、名古屋病院のロボット手術の取り組みに強い興味を示し、活発に意見交換した。また、バムルンラード病院は心臓移植が始まったばかりで、日本の状況について高い関心を寄せていた。

同会を振り返り大橋・副理事長は「同じ医療に携わる者として、国境を越えて交流できたことは、今後のやりがいにつながります。ゆくゆくはお互いの病院を行き来して、切磋琢磨できればと思いますので、今後も続けていきたいです」と意欲的。

大橋・副理事長は同会のほかにも、海外との情報交流に積極的だ。21年5月にオンラインで「国際血管外科カンファレンス」を初開催、日本、英国、中国、台湾の心臓血管外科医師が参加し、大動脈治療をテーマに症例検討した。これまでに4回開催し、いずれも1万人を超える心臓血管外科医師が参加。

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