徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest
Tokushukai medical group newspaper digest
2023年(令和5年)08月07日 月曜日 徳洲新聞 NO.1401 3面
「人が主役となりAIを活用しましょう」と大山・統括本部長
日本マイクロソフトの大山訓弘ヘルスケア統括本部長(業務執行役員)は「先端技術が実現する『より良い医療のかたち』」をテーマに講演した。
はじめに、自社の活動のひとつとして「先端技術を活用した医療の質の均てん化や医療現場の生産性向上」に取り組んでいることを紹介。とくに着目している技術として、生成AI(人工知能を用いて文章や画像、音声などを自動生成するプログラム)を挙げ、「生成AIで作成した紹介状や退院サマリなどは、一部手直しは必要ですが、業務で使えるレベルの文章になっています」と指摘、職員の負担軽減につながる可能性を示唆した。
また、医療現場での自社製品・サービスの活用例を披露。ある病院ではチャットや通話ができるアプリを用い会議をオンライン化。離れた場所からでも会議に参加できるため多職種ミーティングが開催しやすくなったり、資料を電子化、配信することで印刷物の削減につながったりする効果が得られていると説明した。
別の病院では、複合現実技術(実際に目で見ているリアルな景色にCGやデジタル情報を合成表示する技術)を用いた実証実験を実施。医師が透過型ヘッドマウントディスプレイを装着すると、遠隔地にいる患者さんの患部の映像がリアルタイムで立体的に表示され、平面映像だけでは評価が困難な病変部位などが観察・診断できるようになったと解説した。
その一方で、こうしたテクノロジーはセキュリティ面が課題になりやすいと指摘。システムの不備やサービス提供会社の誤った対応などで情報が漏洩する可能性を示した。
大山・統括本部長は「医療現場は個人情報を多く取り扱うだけに、こうした技術を使う場合、開発業者やサービス提供業者のデータ取り扱い方法などを徹底して確認する必要があります」と注意喚起。「AIなどは業務効率化や意思決定を支援するためのツール。主役は、あくまでも人であることを忘れてはなりません」とまとめた。