徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest
Tokushukai medical group newspaper digest
2023年(令和5年)07月31日 月曜日 徳洲新聞 NO.1400 4面
27G小切開硝子体手術の様子
湘南藤沢徳洲会病院(神奈川県)眼科は27G小切開硝子体手術を実施している。硝子体は水晶体と網膜の間にあり、これが混濁したり網膜を牽引したりすることで、多様な病気を引き起こす。同手術は、混濁した硝子体や貯留した血液や病原菌を除去する治療法で、白目の部分から非常に細い器具を眼内に挿入して行う。27G(ゲージ)とは、同手術に用いる先端が0.4mmの器具。適応となる疾患は網膜剝離、糖尿病網膜症、硝子体出血、黄斑前膜、黄斑円孔、眼内炎などだ。
これまで同院では、25G小切開硝子体手術(器具の先端は0.5mm)を実施していた。手術件数は2021年に14件、22年に47件と着実に実績を伸ばし、地域の医療機関からの紹介も増加した。今回、手術による侵襲をより少なくするため、新たに27G小切開硝子体手術を開始。7月までに6件を実施し、いずれも良好な経過をたどっている。
同手術は、眼に小さな器具を出し入れする穴(創口)を作成して行うが、創口の閉鎖不全が起こると、術後感染や低眼圧にともなう合併症が生じる。このため25Gでは、創口の縫合を行
ったうえで手術を終了するのが一般的。一方、27Gでは、これまでより小さな創口ですむため、無縫合や少ない縫合で手術を終了することが可能となり、術後の異物感の軽減が期待できる。
平田悠樹・眼科医長は「器具の細さが0.1mm違うだけで、患者さんへの侵襲は格段に低くなります。症例によっては、これまでどおり25G小切開硝子体手術を選択する場合もありますが、多くの症例で27Gを選択できます。器具が細いので、硝子体の切除に少し時間がかかり、難易度も上がりますが、その分、術後に眼の中のゴロゴロした感じが軽減でき、患者さんのQOL(生活の質)向上に寄与します。今後、さらに手術体制を整備して、より多くの患者さんに対応していきたいと考えています」と意欲を示す。