徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest
Tokushukai medical group newspaper digest
2023年(令和5年)07月31日 月曜日 徳洲新聞 NO.1400 4面
徳洲会グループは介護の質向上と職員の負担軽減を目的に、ICT(情報通信技術)の活用を加速している。昨年4月に介護老人保健施設(老健)ほのか(山形県、定員100人)の全ベッドに導入した見守りシステム「LIFELENS」を、今年2月に神奈川県の特別養護老人ホーム(特養)逗子杜の郷、特養かまくら愛の郷、老健かまくらの全ベッドに導入。これら3施設は、さらに新たなシステムも採用した。各施設の取り組みを紹介する。
画面には居室の様子のほか、睡眠レベルなども表示(老健ほのか) 気になる居室は画面に固定してチェック(特養かまくら愛の郷) タブレットでも確認できる(特養逗子杜の郷) 老健かまくらの居室に設置している「LIFELENS」
「LIFELENS」は、ベッドに装着する体動センサーと天井に設置する映像センサーにより、入所者さんの室内の様子を把握・記録するためのシステム。スタッフステーションの端末やスマートフォンのアプリから居室の様子が確認できるため、職員は逐一、居室を訪れる必要がない。室内で転倒した時なども、その前後の状況が把握できる。本人が特定できないように、映像にぼかし処理を施すなどプライバシーに配慮することも可能だ。
いち早く導入した老健ほのかでは、入所中の方はもちろん、入所予定の方にも活用。入所前にショートステイを利用してもらい、夜間の様子などを「LIFE-LENS」で確認、転倒リスクなどを協議し、入所後のケアプラン作成に活用している。「より適したプランが作成できるようになりました」と加藤満由美・介護福祉士。
また、同システムはコロナ禍で効果を発揮。田村雅之・介護福祉士は「クラスター(感染者集団)が発生した際、レッドゾーン(汚染区域)の居室の様子をグリーンゾーン(非汚染区域)のスタッフステーションから確認しました。訪室できる人員が限られたなかで、遠隔でも見守りができたのは、とても心強かったです」と振り返る。
特養逗子杜の郷(定員120人)、特養かまくら愛の郷(同130人)、老健かまくら(同120人)の3施設は、とくに夜間巡視の時間が短縮し、職員の負担軽減につながっている点を強調する。
「以前は夜間巡視に1フロア20~30分要していましたが、同システム導入後は一度、画面上で確認し、必要な方のみ訪室することで5~10分に短縮できました」と特養逗子杜の郷の芦田翔・生活相談員副主任。ドアを開閉する際の音が減るなど、入所者さんの睡眠環境も改善した。野間智子・介護副主任(介護福祉士)は「たとえば夜間の排泄ケアでも、画面上で睡眠状況を確認し、目が覚めたタイミングで訪室するなど、スムーズなケアにつながる試みも行っていきたいです」と抱負を語る。
特養かまくら愛の郷の磯野雅彦・介護士長(介護福祉士)は「とくに気になる入所者さんの画面はモニター上で位置を固定し、常時状態を確認することで急変時の迅速な対応につながっています」と活用法を示す。櫻井健一施設長は採用活動の際のアピールポイントにもなることに期待を寄せている。
また、老健かまくらの西山泰之・介護士長(介護福祉士)は「訪室時には寝ていた入所者さんが、その後すぐに起きて居室内を歩き出したことで、転倒リスクが判明したケースもあります」と指摘。施設内で共有し、すぐに転倒予防策を講じるなど、安心・安全な介護の提供につなげている。
3施設は、いずれも同システムと合わせ、マットレスの下に設置し体動などを測定する離床センサー「aams」や、ケア記録や申し送りなどの記録管理システム「ほのぼのNEXT」も導入。より医療必要度の高い入所者さんの状態把握や、事務作業の負担軽減に役立てている。さらに特養かまくら愛の郷は座位の移乗をサポートするロボット「Hug T1-02」も設置。体格の大きい利用者さんでも安心して移乗できる環境を整えている。
見守りシステムを含め今後、他の徳洲会介護施設でもICTを活用していく構えだ。