徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest
Tokushukai medical group newspaper digest
2023年(令和5年)07月24日 月曜日 徳洲新聞 NO.1399 4面
A. お答えします。
佐藤 守彦 徳洲会感染管理部会部会長、湘南鎌倉総合病院(神奈川県)感染対策室部長
新型コロナ感染症の5類移行は国が決めた規則に過ぎず、ウイルス自体の感染力が弱まったわけではありません。むしろ国内で流行しているオミクロン株XBB系統はこれまでより感染力が高まっている可能性が示唆されており、社会全体の感染対策が以前より緩くなってきている現在、感染リスクは高くなっていると考えるべきです。もちろん、医薬品やワクチンの開発が進んだことで、ウイルスが登場した当初に比べ、新型コロナの危険性は下がってきています。とくにオミクロン株の若年層の致死率は、インフルエンザウイルスと同等程度になってきており、そういう意味では安全性は高まったと言えるでしょう。
ただ、若年層にとって新型コロナで最も気を付けるべきは後遺障害。長期にわたる全身倦怠感やブレインフォグ(記憶障害、集中力低下などの精神症状)は、社会生活に甚大な影響があり、時に人生を狂わしかねません。後遺障害については決定的な治療法がまだ確立されておらず、対症療法のみです。5類になったからと油断せず、感染対策しつつ、社会生活を営むことをおすすめします。