徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2023年(令和5年)07月17日 月曜日 徳洲新聞 NO.1398 4面

徳洲会グループ
男性育児休業を積極推進
職場の理解と工夫が後押し

政府は、男女の「仕事と育児の両立」を支援することを目的に、男性の育児休業(育休)の取得を推進している。今年4月には常時雇用の従業員が1,000人以上いる企業に対し、男性の育休取得割合を公表することも義務付けられた。徳洲会グループも、こうした社会情勢をふまえ男性職員の育休取得を進めている。

「育児は予想以上に疲れるとわかった」と吐露する札幌病院の川岡職員

育休とは、原則、1歳未満の子どもを養育するための休業で、育児・介護休業法(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)に定められている。女性の社会進出や核家族化の進行など社会情勢の変化から、国は、より育休が取得しやすい仕組みを推進しており、2022年10月には改正育児・介護休業法により、従来は原則できなかった育休の分割取得が可能になった。これにより、夫婦が交代で育休を分割取得することで、職場から長期離脱することなく、円滑に職場復帰できるようになった。

加えて、「産後パパ育休(出生時育児休業)制度」が創設。男性は既存の育休とは別に、さらに4週間休業できることになった。同制度では、従来認められていなかった「育休中の就業」も労働者が合意した場合に限り可能(就業可能日などは上限あり)となり、休業による業務引き継ぎの負担軽減などが期待されている。働き方改革などが叫ばれるなか、男性の育休取得は今後、さらに加速すると考えられる。

徳洲会グループでも同法に基づき、男性の育休取得体制を整備。各病院・施設が育休取得を呼びかけており、グループ全体で、22年度に育休を取得したのは女性職員が1,824人、男性職員が256人※に上る。そのうち、育休を取得した男性職員の職種の内訳を見ると、看護師が最も多く、次に理学療法士、医師と続く。男性職員が育休を取得した病院は、75病院中56病院となっている。

※22年4月~23年3月に生まれた扶養家族がいる男性職員のうち、1日以上育休を取得した人数

書類整備や個別説明会実施 各病院工夫凝らし取得推進

「周りのサポートがあって取得できた」と中川医長

札幌徳洲会病院は、塙健一リハビリテーション科係長(理学療法士=PT)が先陣を切り育休を取得。それをきっかけに、同科で取得者が相次いでいる。「まずは自分から取ってみようと考え、上長などに相談したところ『取得することに問題はない』とポジティブに受け入れていただき、3カ月間取得しました」と塙係長。2カ月間取得した川岡広太朗PTは「役職者が先に取得してくれたことで、相談しやすくなりました」と強調。手のリハビリチームに所属する井部光滋係長(作業療法士)は他のリハビリチームと調整し、1.5カ月間取得した。「職場の理解があったから取得できました」と井部係長は謝意を示す。現在、他職種から同科に育休取得の相談が寄せられるなど、院内全体で推進する動きが見られるという。

「あやし方などに苦労した」と振り返る小山医師

湘南藤沢徳洲会病院(神奈川県)は総務課が個別説明などを通じて制度の浸透を図っている。園田千恵利・同課職員は「2年ほど前から、配偶者の妊娠の報告があった男性職員には、概要の説明や取得希望の確認などを行っています」。中川亮・産科・婦人科医長は産後パパ育休を活用し、4週間取得。午前中は出勤、午後は育休という勤務体制で、出勤時は外来診療を中心とした。「育休を分割して取れることなどは知りませんでした」と中川医長。2週間取得した福岡智明・医局事務部主任も「保険料の控除など、自分では調べきれず助かりました」と個別説明を評価する。

医師の取得が多いのが、中部徳洲会病院(沖縄県)。主治医が変わることもあるが、「患者さんを不安にさせないような対応をとることが重要」と、取得者は口をそろえる。半年間取得した小山淳・救急総合診療部医師は「申し送りを丁寧に行い、難しい症例の患者さんは上長の医師に担当を依頼するなど体制を整えたうえで休みに入りました」と説明。小山医師と入れ替わりで配偶者が職場復帰するなど、女性の継続就業にもつながる可能性を示唆する。森本龍馬・消化器内科医師は取得した2カ月間について「仕事を客観的に見直す機会となり、復帰後は仕事により魅力を感じています」と明かす。都丸翔・循環器内科専攻医は4カ月間取得。「復帰後に、患者さんから『お子さんは大きくなった?』と聞いていただくこともあります」とコミュニケーションの機会につながったと指摘する。育休取得後、小山医師は医局会で「産後パパ育休」について講義も行った。「男性医師でも取れるという院内の意識付けになったのではないか」と振り返る。

各病院の取得者からは「主体的に子育てにかかわれる」と、育休に対する満足度が高い様子が見られた。あわせて、周囲への配慮や、配偶者との十分な話し合いが重要という意見も多く聞かれた。

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