徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest
Tokushukai medical group newspaper digest
2023年(令和5年)07月10日 月曜日 徳洲新聞 NO.1397 4面
訪問看護は、文字どおり看護師などが患家を訪れ療養上の世話や診療の補助を行う事業です。介護保険と医療保険が適用されますが、一定のルールが決められており、自由に使い分けることはできません。それぞれ適用の要件や受けられるサポートの内容にどのような違いがあるのか。愛心訪問看護ステーション(訪看ST、神奈川県)の野口薫所長(徳洲会看護部門地域部訪看ST責任者)が解説します。
野口薫所長 愛心訪看ST(神奈川県)
訪問看護は、自宅療養する患者さんのもとを訪れて医療ケアを行う事業です。主に訪看STが提供し、看護職(看護師をはじめ保健師、助産師)やリハビリテーションセラピスト(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)が訪問します。
介護保険と医療保険で利用できますが、支援内容に差異はありません。主に、①生活支援(食事、排泄、服薬管理、身体保清など)、②通院困難による自宅での医療的ケア(状態把握、褥瘡の処置など)、③看取り――の3つになり、いずれも医療必要度が高いケースが想定されます。とくに①は訪問介護と混同されがちですが、排泄ではオムツ交換だけでなく浣腸や摘便などが必要な方、身体保清では入浴することで状態の悪化が懸念される方(在宅酸素の利用や入浴後に傷の処置が必要なケース)などが該当します。
また、支援内容は医師の指示に基づくものとなり、処置方法やリハビリの回数・時間等が記載された“指示書”が必要になります。
介護保険の適用は、65歳以上(1号被保険者)で要介護認定(要支援1・2、要介護1~5)を受けるか、40~64歳(2号被保険者)で特定の疾病に罹患し要介護認定を受けた場合になります。
一方、医療保険が適用になるのは、39歳以下または40歳以上の介護保険対象者でも、がんの終末期や難病など、とくに医療必要度が高い方になります。
1回当たりの訪問時間も、介護保険では主に20分未満、30分未満、1時間未満、1時間半未満、医療保険ではおおむね30分~1時間となっています。
介護保険では、訪問看護と似た事業として「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」があります。これは、定期巡回または連絡を受け随時、利用者さん宅を介護福祉士や看護師などが訪問する事業で、料金体系が月単位の定額になっているため、原則、一定の費用で月に何度も利用できるのが特徴です。1つの事業所で実施しているところもあれば、訪問介護と訪看STが連携して実施しているところもあります。
訪問看護は、利用者さんの状態を悪化させない「予防」の役割も担っています。表の項目で当てはまるものが多い場合は、早めにかかりつけ医や地域のケアマネジャーなどに相談すると良いでしょう。