徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2023年(令和5年)06月26日 月曜日 徳洲新聞 NO.1395 4面

読み解く・読み得 紙上医療講演65
傷跡のタイプと治療方法

今回のテーマは「瘢痕」です。瘢痕とは傷が治った状態、いわゆる傷跡のことです。機能障害を引き起こしたり、見た目の問題で日常生活に困難を生じたりする際は、形成外科の診察対象になりますが、瘢痕と言っても4つの種類があり、基本的な治療方法は異なります。瘢痕の種類や治療方法について、湘南藤沢徳洲会病院(神奈川県)の飯田直成・形成外科部長が解説します。

瘢痕は状態などによって「成熟瘢痕」、「肥厚性瘢痕」、「ケロイド」、「瘢痕拘縮」の4つのタイプに分かれます。成熟瘢痕は、時間とともに白色や地肌の色に近づいた傷跡を指し、かゆみや痛みなど身体的な問題がなく、ふだん私たちが最も目にするタイプです。肥厚性瘢痕は、真皮深層(血管や神経などが通っている部分)に達する深い傷跡や、関節周囲、口唇周辺など身体の動きに合わせて伸縮する部位にできた傷跡で、かゆみを訴える方が多く見られます。

成熟瘢痕

ケロイドは、傷跡が大きく盛り上がるのが特徴で、痛みやかゆみをともないます。なお、時々やけどによるケロイド状の傷跡を見ますが、それは前述した肥厚性瘢痕や瘢痕拘縮となり、ケロイドには該当しません。瘢痕拘縮は、外傷や手術などで縫い合わせた傷が盛り上がるなどして皮膚のひきつれ(皮膚が縮んで周囲の組織を引っ張る)が生じている傷跡で、関節が動かしにくくなるなど機能障害をともないます。

肥厚性瘢痕

また、ケロイドを除くタイプでは、やけどや外傷、手術などが原因となり、ケロイドでは「ケロイド体質」や遺伝など、さまざまな要因が絡んで発症します。

ケロイド

一般的に、瘢痕の治療は形成外科で行います。形成外科は再建外科と美容外科に分かれ、再建外科は機能的・整容的な目的、美容外科は審美性を目的に治療を行います。ここでは、一部の治療が保険適用される再建外科での瘢痕治療について説明します(美容外科はすべて自由診療)。

瘢痕拘縮

成熟瘢痕は機能的な問題がないことから、通常、治療する必要はありません。ただし、目立つ位置に傷跡が残っていたり、赤みや禿髪などが著しく日常生活を送るうえで苦痛に感じたりし、治療を希望する場合は外科治療となります。主に植皮術(薄く皮膚を切り取り、縫い付ける)や皮弁形成術(血管を含めて厚めに皮膚を持ち上げ移動する)を行います。

肥厚性瘢痕は、ステロイドテープを貼ってかゆみを抑える保存的療法が主となり、1~5年で成熟瘢痕に移行します。ケロイドは、外科治療を行うと症状が悪化する恐れがあるため、原則、ステロイドテープ療法や内服薬などで症状を抑えますが、例外的に瘢痕の位置が耳たぶの場合は手術を行うこともあります。瘢痕拘縮は基本的に外科治療を行い、機能改善を目指します。

形成外科の治療目的には、身体の機能面のみならず見た目の問題も解消し、患者さんのQOL(生活の質)向上につなげることが含まれます。そのため、手術で皮膚を縫合する際も、できるだけ傷跡が目立たずひきつれないような手技を用いるのが特徴です。

傷跡による痛みや機能的な問題がある場合はもちろん傷跡があることで日常生活に不都合が生じていれば、ぜひ形成外科医にご相談ください。

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