徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest
Tokushukai medical group newspaper digest
2023年(令和5年)06月19日 月曜日 徳洲新聞 NO.1394 1面
八尾徳洲会総合病院(大阪府)は、府知事から地域医療支援病院として承認を受けた。地域医療支援病院は、紹介患者さんに対する医療の提供や、かかりつけ医への逆紹介、医療機器の共同利用、地域の医療従事者に対する研修などを通じて、地域医療を担うかかりつけ医を支援する役割や機能をもつ。加えて、同院は増改築と60床の増床を2025年12月の予定で計画。地域の基幹病院として救急、高度急性期医療、急性期医療に注力しながら病診連携にも尽力し、地域医療の充実・発展に貢献していく考えだ。
(右から)酒匂事務長、原田院長、児島・課長補佐
新館の完成予想図
八尾病院の原田博雅院長は「当院は開院から45年を迎えます。地域に根付いた病院として運営を続けるなかで、救急医療はもとより、この数年、新型コロナウイルス感染症への積極的な対応など、公的な役割を担うことが増えてきました。基幹病院として地域を支え、地域とともに医療を提供していく姿勢を、より鮮明にするために、地域医療支援病院となることを決断しました」と狙いを明かす。
承認は3月20日付で、大阪府の地域医療支援病院は計51施設となった。徳洲会グループでは7施設目だ(表)。
複数の承認要件があり、まず①紹介患者さん中心の医療提供。次の3とおりのうち、いずれかに該当しなければならない。「紹介率80%超」、「紹介率65%超、かつ逆紹介率40%超」、「紹介率50%超、かつ逆紹介率70%超」。同院は紹介率65%超・逆紹介率40%超でクリアした。
このほか②救急医療を提供する能力を有する、③建物、設備、機器などを当該病院に勤務しない地域の医療従事者が利用できる体制を整備(医療機器の共同利用)、④地域の医療従事者の資質向上を図るための研修を実施、⑤原則200床以上――が要件だ。これらもクリアした。
「救急・急性期医療や高度医療を提供しながら、幅広い疾患・病態・年代の患者さんへの対応に引き続き取り組んでいきます」と原田院長は意欲を見せる。
承認取得に向け動き出したのは2022年2月。同24日に地域医療支援委員会を院内に立ち上げた。地元・八尾市の医師会や歯科医師会、薬剤師会、消防、保健所、近隣医療機関代表、地域住民代表者で構成する7人の外部委員に加え、同院の四役ら6人が委員に就いた。
承認の申請にあたっては、各要件に関して1年間の実績で基準をクリアしていなければならない。同委員会は、地域医療支援病院にふさわしい病院であることを示すため、定期的に実績を報告し、地域の医療関係者らと現状を共有する場だ。
同委員会発足時点で紹介率以外はすでに基準に達していた。酒匂精一事務長は「病診連携を強化し紹介患者さんを断らずに受け入れることを地道に実践してきました」と説明。その結果、22年4月から23年3月までの実績で、紹介率は72.8%に上昇、逆紹介率も68.3%と基準をクリアした。連携登録施設は242施設に上る(22年12月時点)。
またコロナ対応を行いながら通常診療を可能な限り維持したことで22年の手術件数6,479件、救急搬送8,371件と、ともに過去最多の更新に結び付いた。
病診連携室の児島和人・課長補佐は「退院先の後方病床や施設の不足が課題のひとつです」と指摘。「高齢者施設などの管理者との懇話会を6月1日に開催し、地域包括ケアシステムの構築、推進に努めていきます」。
同院は25年12月完成予定で新館の増築と本館の改修工事を計画。同時に60床の増床を予定し、計475床にまで増える。ICU(集中治療室)は現状の8床から20床に、HCU(高度治療室)は20床から30床にそれぞれ増加。外来や待合室、内視鏡室の拡張なども図る。「何かあったら徳洲会へ、と地域の方々に頼っていただける病院が目標です」と原田院長は抱負を語る。
来年度から研修医の定員が増え5人となる。研修医をはじめ医療職の教育施設としても充実させ、患者さんや職員が集まるマグネットホスピタルを目指す。