徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest
Tokushukai medical group newspaper digest
2023年(令和5年)05月29日 月曜日 徳洲新聞 NO.1391 1面
四街道徳洲会病院(千葉県)は昨年末に内視鏡手術支援ロボット「ダヴィンチXi」を導入、4月14日に1例目の前立腺がん患者さんに対する手術に奏功した。ダヴィンチは鉗子の可動域が広く、人の手では困難な屈曲や回転を実現できる。徳洲会グループでは23病院(計24台)がダヴィンチ、3病院が国産初の内視鏡手術支援ロボット「hinotori」、1病院が外科手術支援ロボット「ヒューゴ」を導入している。
「ダヴィンチ導入で、より地域に貢献できます」と森田副院長
ダヴィンチは内視鏡(腹腔鏡など)や鉗子を装着する4本のアームをもつ「ペイシェントカート」というロボット部分と、それを操作する「サージョンコンソール」などで構成。術者は視野を拡大できる三次元の立体映像を見ながら、遠隔操作で手術を行う。ロボットアームはコンピュータ制御下で、ぶれの少ない安定した動きが可能。精緻な低侵襲手術をより安全に施行でき、出血量の低減や術後の早期回復などに寄与する。
出血量の低減や術後の早期回復などに寄与するダヴィンチ
四街道病院は昨年末に、最新型の「ダヴィンチXi」を導入。森田祐司副院長(泌尿器科)は「現在、前立腺がんの外科手術の多くがダヴィンチで実施されているため、当院ではこれまで手術を希望する患者さんは他院に紹介せざるを得ませんでした。ダヴィンチを導入したことで、当院でも手術できるようになり、より地域に貢献できるようになりました」と意気込む。
森田副院長はシミュレーターでダヴィンチを操作した感想として「一番の違いはアームの可動域が広く自由に動かせる点」と指摘。とくにダヴィンチは骨盤の一番深いところにある前立腺がんまで鉗子が届くため、より正確な手術が可能になり、合併症のリスクが低減する。アームを自分の腕のように扱え、カメラもぶれないことから、スムーズな手術ができる点にも期待を寄せる。
森堂道・泌尿器科部長らスタッフは1月からトレーニングを受け、4月14日に1例目の手術に臨んだ。患者さんは前立腺がんの70代男性。森部長が手術を担当し、森田副院長も立ち会った。手術は出血も少なくスムーズに終了し、術後も良好に推移、同月25日に退院した。
1例目実施にあたり、院内の会議室で職員向けに手術の様子をライブ中継した。ダヴィンチ導入の周知と理解促進が狙いで、医師や看護師、事務職員らが多数参加、「どのような手術を行うのかが、よく理解できました」といった感想が聞かれた。
9月まで月に1~2回ロボット手術の予定が入っており、順調な滑り出しとなっている。症例を重ね、まずは森部長が泌尿器科のロボット支援手術認定プロクター(手術指導医)の資格取得を目指す。「大学医局とも連携し、ロボット手術を実施するだけでなく、ロボット手術ができる医師の育成にも力を入れていきます」と森田副院長。
ダヴィンチ導入後、同院には若い医師から入職希望の問い合わせが相次ぐなど、人材獲得にも寄与。「最新機種のダヴィンチということで、興味をもつ医師が多いようです。新しい機器の導入は、患者さんに安心・安全な医療が提供できるとともに、医師に対しては魅力ある病院として、アピールにもつながります」(森田副院長)。
同院では、ダヴィンチ導入にともない泌尿器科の常勤医師を1人増員。森田副院長は透析を中心に担当するなど役割分担を行い、より手厚い医療提供が可能となった。
また、ダヴィンチを他科に導入することも視野に入れているが、当面は泌尿器科のみで運用する。森田副院長は「当院周辺にはダヴィンチ手術を行っている医療機関が少ないため、差別化になると考えています。患者さんにとっても通い慣れた病院で手術を受けることができるのは、安心感にもつながると思います」と強調する。