徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2023年(令和5年)05月01日 月曜日 徳洲新聞 NO.1387 3面

徳洲会放射線部会
知見共有しスキルアップ
全国学術大会を開催

徳洲会放射線部会は4月15日、湘南鎌倉総合病院(神奈川県)でWEBとのハイブリッド形式による全国学術大会を開催した。9ブロックの予選会で1位に選ばれた各演題を持ち寄って発表し合い、知見を共有することでグループ全体の診療放射線技師のスキルアップを図るのが狙い。会場とWEBを合わせ計165人が参加し研鑽を積んだ。

演題を通じ日頃の成果や取り組みを披露した発表者ら(左が服部部会長)

冒頭、部会長を務める鎌ケ谷総合病院(千葉県)放射線科の服部篤彦・診療放射線技師が開会挨拶で「人前で発表すると、とても良い勉強になります。また、発表したことに対して、フロアから意見がありリアクションがあると、非常にうれしいものです。ぜひ、活発な討議と温かい言葉をお願いします」と呼びかけた。

全国学術大会では、WEB参加を含め聴講者全員の投票により順位を決定。上位3演題と部会長賞の授与を行った。生駒市立病院(奈良県)放射線科の森田勝一技師長が司会。前後半で発表を分け、それぞれ3人のブロック長がコメンテーターとなり、演題発表毎に質疑応答の時間を設けながら進行した。

最優秀賞に選ばれたのは、和泉市立総合医療センター(大阪府)中央放射線科の西田凌・診療放射線技師が発表した「STAT画像報告に対する当院の取り組み」。チーム医療を推進するなかで、厚生労働省は診療放射線技師の役割として“読影補助”を具体的な業務例に挙げている。また医療の質向上の観点から、診療放射線技師が緊急度の高い異常画像に気付き報告を行うSTAT(緊急)画像報告は、国際的な医療機能評価であるJCI認証基準でも推奨されている。

こうしたことから、同センターでは診療放射線技師の読影補助力を養い、STAT画像報告を実施できる体制の構築を目指し、セキュリティ機能の高いビジネスチャットツールを活用するなどし、疾患別の読影補助トレーニングに取り組んだ。正答率が低かった症例画像に関して、放射線科医師による解説動画を配信し、振り返りの学習機会を設けた。

西田・診療放射線技師は「新しいツールを使用することにより、場所や時間の制約なく各々が放射線科医のアドバイスを含めた読影の補助トレーニングを行うことができました」とまとめた。

優秀賞は野崎徳洲会病院(大阪府)放射線科の渡邉富夫副主任が発表した「頭部MRA検査の工夫~3DMRAとNo SAT TOF~」。同院のMRI(磁気共鳴画像診断)撮像件数は近年増加傾向で、月間900件を超える月もあり、その半数以上は頭部関連MRI。医師からのさまざまなリクエストをもとに取り組んだMRI画像作成時の工夫などを紹介した。

はじめに頭部MRA(磁気共鳴血管撮影)の3D画像を作成した事例に言及、そのメリットとして「小さな動脈瘤を発見しやすい」、「膨隆部と動脈瘤の区別がしやすい」、「患者さんへの説明がしやすい」と列挙。

次に、急性期脳梗塞に対しMRA撮像時間を短縮し、予後の悪化を少しでも食い止めるために取り組んだNo SAT TOFの実施例を紹介した。これは、静脈の描出を防ぎ動脈のみを描出するSATなしで撮影を行う非造影MRI。救急MRAの撮像時間・総検査時間を大幅に短縮できたことから、渡邉副主任は「静脈まで描出してしまう弱点はあるものの、短時間で行えるため、救急患者さんへの診断に高い適正があります」と結んだ。

第3位は千葉西総合病院放射線科の橋本慎也・診療放射線技師が発表した「超高速スキャンにおける体軸方向の画質特性の基礎的検討」。

超高速スキャンは呼吸や体動、心拍動によるモーションアーチファクト(画像の乱れ)の低減により、臨床での有用性が期待されるものの、体軸方向の画質への影響など懸念されることから、橋本・診療放射線技師は①時間分解能、②体軸方向空間分解能、③形状再現性について検討を行った。

結果、「体軸方向への画質を維持しつつ、時間分解能の向上が可能であることが示唆されました」とまとめた。また、造影剤の追い越しに対する撮影時の工夫なども発表した。

このほか、石垣島徳洲会病院(沖縄県)放射線科の田倉廣恵・診療放射線技師が「腎結石・尿管結石疑い症例に対するDUAL-ENERGYイメージングについての検討」というテーマの演題を発表し、部会長賞に選出された。

PAGE TOP

PAGE TOP