徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest
Tokushukai medical group newspaper digest
2023年(令和5年)05月01日 月曜日 徳洲新聞 NO.1387 1面
ガストロの導入に笑顔のスタッフ(左から3人目が山本部長)
東京西徳洲会病院はシングルユース(単回使用)の上部消化管内視鏡「Ambu aScope ガストロ」を3月に導入した。徳洲会グループで初めて。
同製品はいわゆる使い捨ての内視鏡。一般的な内視鏡は洗浄・滅菌を行ったうえで繰り返し使用するのに対し、ガストロは1回の処置ごとに廃棄する。使用する際は、専用のディスプレイ一体型データ制御装置に接続する。内視鏡の構造は先端にカメラや照明、鉗子口、送水・送気ノズルが備わり、ケーブル根元のハンドル部分で操作するなど、一般的なタイプと変わらない。
昨春から欧米を中心に世界的に1万本が使用された。日本では昨年5月に薬事承認を取得。同年12月に日本用モデルが完成し、3月に全国8施設9診療科に限定して医療現場での使用を開始した。東京西病院は、そのうちの1施設となり3月12日に1例目を実施。これまで4例を手がけ、いずれも消化管出血に対する止血術に用いた。
同院の山本龍一・肝胆膵内科部長(消化器病センター長、内視鏡センター長)は、「新品の滅菌済み内視鏡を使用することになるため、とくに免疫不全や感染リスクの高い患者さんに、より安全な内視鏡の治療・検査が行えると思い導入しました」と説明。また、「十分な消毒などを施して再利用する一般的な内視鏡の場合、機器のトラブルによっては内視鏡全体を入れ替えなければならず、修理費用が高額になることがあります。そういったリスクを回避できるメリットもあります」とも指摘する。
従来の内視鏡装置で対応可能なケースが十分あることから、「現状でガストロを使用するケースは限定的」としながらも、山本部長は「滅菌された状態で1本ずつ封入されているため開封すればすぐに使用できること、時間外なども使用後に廃棄するだけで洗浄や滅菌が不要なこと、接続する専用装置が小型で運びやすいためICU(集中治療室)での緊急症例などにも迅速かつ安全に対応できることなどから、“可能性のあるデバイス”だと思っています」と期待を寄せる。
今後、同院は症例を重ね学会や論文で報告する予定。「佐藤一彦院長の下、仲間と協力して西東京・多摩地区の核たる施設となれるよう精進します」と山本部長は意気込む。